「死を確実なものとして考えるようになって初めて、命の尊さがわかってきた思いがする」。ある死刑囚がつづっているブログが話題になっている。拘置所での生活や自らの心中を明かす内容に、ネットでは死刑制度の是非を含めた議論が巻き起こっている。
「欲望のままに生きてきた自分の人生は、面白かった」
タイトルは「死刑囚獄中ブログ」。死刑囚の名は小田島鉄男死刑囚(65)。マブチモーター社長宅殺人放火事件(2002年)で社長の妻(当時64)と長女(当時40)を絞殺するなど4人を殺害し、07年11月1日に死刑が確定している。ブログの開設は死刑確定から約1ヶ月さかのぼる07年10月9日で、ノンフィクション作家の斉藤充功氏(67)が、「私が小田島に興味を持った理由」として、こうつづっている。
「私と同世代の男の犯罪の原点が、何処に隠されているのか真実を知りたかったからである」
ブログには、小田島死刑囚の手紙を、斉藤氏が本人の了承を得た上で掲載しているという。
控訴を取り下げ、死刑が確定した日のブログ(公開は08年1月10日)には、
「死刑確定する事で、自分の生き様を見つめ直す時間が訪れると思っています」
とし、その後現在まで、
「絶対に取り返しのつかない罪を犯してしまったが、悔やむことも、反省することも、決して忘れずに胸に刻み込み罪の責任を背負うことも、そして死ぬことも、できる」
「死刑囚の身を自省せずに、不遜だと非難されるのは承知のうえで私は、執行される直前に欲望のままに生きてきた自分の人生は、面白かった、面白かったと思って死にたいと思う」
などと、複雑な心情を吐露している。