韓国の人気女優チャン・ジャヨンさん(29)が自殺した原因は何なのか、韓国では大騒動になっている。初めは「うつ病」が原因の自殺だろうと報道されたが、チャンさんが書いたとされる「遺書」のようなものが見つかり、そこには所属事務所からの性的接待の強要、暴行があった、などと書かれていたからだ。警察の捜査が始まる中、チャンさん関係者の連日のインタビューや、「遺書」自体もでっち上げ、などの報道も出て、韓国メディアは虚実入り乱れたスクープ合戦の展開だ。
「性的」接待をした著名人の名簿も出てくる
チャンさんが首をつって死んでいるのが発見されたのは09年3月7日。周囲に「死にたい」と漏らすなど、うつ傾向が出ていたため、韓国の盆唐警察署は09年3月8日、死はうつ病による自殺と結論付け、捜査終了を発表した。しかし、09年3月13日、韓国の公共放送KBSの「ニュース9」がチャンさんの直筆文章を入手したと報道、事態は一変する。文書には、チャンさんが所属会社から性的接待を強要されたり、暴力、罵倒を受けたりした、と書かれていた。さらに、接待相手と思われるドラマプロデューサーなど著名人の名簿もあった、と報道。そこから大騒動に発展する。
韓国警察はこの報道を重く見て、改めて捜査を開始。そこで浮かび上がってきたのは、チャンさんの前マネジャー(29)だった。前マネジャーは、チャンさんが自殺する前にチャンさんから相談を受け、この文書の作成に関わっている可能性があるのだという。そして、前マネジャーは、チャンさんの自殺の理由はうつ病だけではなく、芸能界での生活の苦しさにあったとし、取材陣に
「わたしに文書を残したのは、悔しいことが多かったから。罰を受けるべき人間が確かにおり、真実は明らかになるだろう」(09年3月13日『聯合ニュース』電子版)
と語った。有名女優が性的接待を繰り返していて、その接待相手も暴露されているとすれば、とんでもない一大スキャンダルだ。
韓国メディアは現在、この「事件」を解明しようとスクープ合戦を繰り広げている。中央日報は09年3月17日付けの電子版で、チャンさんは「マネジャーの争いの犠牲になった」と題するチャンさんの兄姉のインタビューを掲載。チャンさんが書いたとされる文書は、チャンさんと事務所代表の関係が悪化していたため、専属契約を破棄させるために前マネジャーがチャンさんに近づき、「不当な待遇を記述してほしいと話し、受け取った」ものだという。結論として、両者のどちらがチャンさんを獲得するか「訴訟」の道具として利用された、などとしている。
女優引き抜き騒動をめぐるドロドロが引き金?
この前マネジャーと事務所代表の諍いは08年から起きていたようで、朝鮮日報によれば、元マネジャーはこの事務所から08年末に独立。その際に、所属タレントを引き抜き独立したとして損害賠償訴訟を起こされるなど、両者の間には様々なドロドロした問題があるようだ。同紙は09年3月17日付けの電子版で、チャンさんの文書は「すべてでっち上げ」という事務所代表のインタビューを掲載した。仕事をしていれば会食する機会があるのは当然で、それを「強要された」とでっち上げたというのだ。さらに、
「(前マネジャーが)うちの事務所に所属する女優のSさん、Lさんを引き抜いた。わたしがこの二人を相手取って損害賠償請求訴訟を起こしたことに対し、(前マネジャーが)これを止めるために今回の事件をでっち上げた」
などと主張しているというが、真相はやぶの中だ。