ケタ違いに安い給料でもガマンするしかない
人材コンサルティング会社のエグゼクティブ・サーチ・パートナーズ(ESP)によると、サブプライムローン問題が発覚して以降に外資系金融機関を辞めた人は2008年12月末で3000人を超えた。08年秋のリーマン・ショックで、リストラの勢いはさらに増している。
外資系金融機関の中でも比較的余裕があったゴールドマン・サックスやJPモルガンなども中途採用をストップしており、転職市場は水面下に沈んでいる。「離職者が数10人、数100人と増える一方で、募集人数は若干名では、間に合うはずがない」(ESPの小溝勝信代表)。転職を繰り返すことでスキルも給与もアップしてきた外資系金融マンも、受け入れてくれる金融機関がないのだからお手上げだ。
首尾よく金融庁の職員に納まっても、長続きするかは分からない。小溝代表は「山一や拓銀の破たんで金融庁に採用された人は、ほとんど辞めましたよ」と明かす。金融庁の年収300万~400万円は、外資系金融機関のそれとは比べものにならないほど低いので、景気が回復すると、再び民間企業に移ってしまうのだ。
証券取引委も「外資系出身者が驚くほど多いということはないと思います。そもそも年収が違いすぎますから」と話す。
ある外資系証券の幹部は、「外資系の人はこれまでの蓄えがあるだろうと思われがち。しかし、実際は株式や不動産に投資していて、この金融危機ですべて塩漬けになって、手元に資金がない人が少なくない」と話す。
外資系金融マンは、いよいよ追い込まれている。