読売は「首をかしげる人は多いのではないか」
今回原告となった教諭らは、「(指導が)学習指導要領に反する」として都教委側から厳重注意処分を受けているが、判決では「同要領に反し、同校の児童生徒の発達段階を踏まえないものだったことが明らかだったとは言えない」として、知的障害児に対する指導内容を事実上支持。この点についても、各紙の評価が分かれている。やはり、朝日・東京の2紙は、
「知的障害をもつ子どもたちが、性犯罪の被害者にも加害者にもならないためにはどうしたらいいか。現場の教員らは日々悩みながら工夫を重ねていた。やり玉にあげられた人形は、自分のからだの部位を把握することも難しい子どもたちに、わかりやすいようにと考えた末の結果だ」(朝日)
「性教育は研究の歴史が浅く、さまざまな方法論がある。知的障害がある子供への性教育指導はさらなる工夫もいるだろう。特別支援学校では試行錯誤しながら実践の仕方を探っているのが実情だ。学校の努力を調べないまま、都議のいう"常識"だけで判断できる問題ではない」(東京)
と、きわめて原告側に同情的だ。一方、読売・産経は、
「普通の小中学校の場合と(養護学校が)同列に論じられないのは、その通りだろう。しかし、性器の付いた人形の使用まで必要なのか、首をかしげる人は多いのではないか」(読売)
「同校の当時の性教育には保護者の一部からも批判が寄せられていた。保護者の同意、発達段階に応じた教育内容など性教育で留意すべき内容から逸脱したものだ。(中略)学校の授業は外部の目に触れにくく、独りよがりの授業がなかなか改善されない。保護者や地域の人々が教育内容を知り、不適切な内容に改善を求めるのは『不当介入』ではない」(産経)
と、やはり「対象が知的障害児であることを考えても、指導は不適切」との立場だ。都議の一部は、すでに控訴の考えを表明しており、高裁でも、性教育のあり方について議論を繰り広げられることになりそうだ。