2階以上にはお客が誰一人いない、という惨状
「値上げ」はしても「値下げ」をしない、という姿勢を貫いてきた高級ブランド。値下げすれば「ブランドイメージに傷がつく」と思っているからだ。ところが08年後半から、「円高還元」を理由に値下げに走っている。
「ルイ・ヴィトン」は平均7%、「クリスチャン・ディオール」は同8%、「サルヴァトーレ・フェラガモ」はバッグ同8.8%、婦人靴14.6%、「カルティエ」は同10%、「ティファニー」は同9%値下げ。「プラダ」も09年3月14日から春夏商品の4分の1程度を10%安くする。
それでも、都内のブランド直営店は土日でもガラガラだ。東京・銀座にある老舗ブランドの直営店をのぞくと、1階の鞄、小物売り場に1~2人お客がいるだけ。2階以上には誰1人いない。店員は、「よくないことですが、いつもこんな感じです」と苦笑いする。
別のブランドの店には鞄、小物売り場にお客が10人ほどいたが、見物しているだけで買う気配が見られない。東京・新宿のデパートの場合、ブランドが入っている階にいつ行っても、ちらほらとお客がいるだけ。ある伊ブランドでは春の新作に混じり、冬物が半額以下で売られていた。年始のセールで売れ残ったもので、値下げしても売れないようだ。
そんな中、人気ブランドの新作を最大70%安く売るサイトが09年3月12日にオープンし、注目を集めている。
米ギルト・グループが07年11月にアメリカでサービスを開始した。同国では「マーク・ジェイコブス」「クロエ」など約300のブランドを扱っている。ギルト・グループ日本法人のマーケティング担当者によると、ブランドやデザイナー本人が「扱って欲しい」と頼んでくるケースもある。
「ブランド側の意向で名前は明かせませんが、ビッグブランドも扱っています」
ビッグブランドとは、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールのような世界トップクラスのブランドを指すようだ。