日本のお米の勢力図に、今激変が起きつつある。「ブランド米」の代表的存在である新潟産のコシヒカリが、北海道米から強烈に追いあげられているからだ。味も向上し、割安感がある、と消費者の支持を集める北海道米は、新品種「ゆめぴりか」をひっさげ、今後さらに攻勢をかける構えだ。
08年産の米の収穫量は北海道が新潟を上回る
これまでの常識では、「米どころ」と言えば日本海側、特に新潟県のことを指したものだが農林水産省が発表した2008年産の米の収穫量は、新潟県が64万4100トンなのに対し、北海道は64万7500トン。意外なことに、北海道が新潟を上回っているのだ。県庁所在地別に米の「1世帯当たり年間の支出金額」をランキング化したもの(06~08年平均、総務省の家計調査より)を見ても、新潟市が3万2426円(12位)なのに対し、札幌市はそれに迫る水準の3万2183円(15位)。つまり、北海道は、米について「生産も消費も活発」との見方ができそうだ。
こんな状況を受けて、北海道米の追い上げが目立ってきている。かつては、北海道米は味の悪さから「やっかいどう米」と揶揄されたこともあったが、1988年に品種改良された「きらら397」が登場してから状況が一変。しっかりした食感が評判になった。さらに、後続の「ななつぼし」「ほしのゆめ」も人気だ。
実際、これら3品種は、日本穀物検定協会が発表した07年度の「食味ランキング」では「良好」とされる「Aランク」を獲得している。これは、「コシヒカリ(新潟・上越)」「あきたこまち(秋田・中央)」と同水準。もっとも、「コシヒカリ(新潟・魚沼)」や「ひとめぼれ(宮城・県中)」は、もう1段階高い「特A」の評価を受けている。