親の8割が子供の就職相談にのっている
「就職氷河期」の再来と言われるなか、我が子の就活を手助けする親が増えている。
リクルートが08年11月9日に行った合同就職セミナーでは、4万6000人の学生が参加し、ちらほらと保護者の姿も見られた、と広報担当者は明かす。同伴だったり、学生の代わりに参加して、熱心に説明を聞き入る姿も見受けられた。
就活セミナーに参加する保護者が目立ってきたのは数年前から。少子化で親と子の接し方が変化し、「過保護」な親が増えているのではないか、と担当者はみている。
「親が就活した時代と今では状況が大きく異なり、保護者自身が不安で参加しているというケースもあるようです」
就活情報サイト「日経就職ナビ2010」には、「保護者版」がある。同サイトによると、大学を卒業しても、6万人もの学生が就職も進学もしていない現実があり、大学や企業だけではなく、親の役割こそが重要になる、と訴えている。
サイトでは、就活にあたって「サポートすべきこと」と、逆に「してはいけないこと」を紹介している。
やってはいけないことの1つは、「押しつけ」だ。昔とは就職状況が異なることを理解せず、古い業界、会社のイメージでアドバイスする親に悩んでいる学生は多い。「過保護」「無関心」もタブーだ。
一方、担当編集者は、最近、親からこんな相談が寄せられる、ともらす。
「大学2年生の子供を持つ親から、『就職のためにこれから何をしたらいいか』という電話を受けました。まだ2年生ですよ。そのほかにも就職難のニュースを見て心配になって、電話やメールしてくる件数が増えています。5月の連休明けに採用活動が一段落するので、それ以降に、『うちの子はまだ内定をもらっていない』という相談が増えそうです」
ベネッセが高校生以上の子どもを持つ保護者374人に実施したアンケートで、8割が就職や仕事に関して子どもと何らかの話をしていることがわかった。話し合いの内容は、「どんな仕事がしたいのか」(71.8%)がもっとも多く、「仕事の種類について」(50.8%)、「仕事に就くために必要な学力について」(47.6%)と続いた。
また、どこまで干渉すると「過保護」になるか、という質問で、87.8%の保護者が「就職活動全般の相談に乗る」ことは「過保護ではない」と回答。「エントリーシートを見てアドバイスする」「試験についてアドバイスする」も、「過保護でない」という意見が多かった。一方、「企業そのものの情報」や「企業の就職情報」の収集への協力、「希望する企業や職種の知人を紹介する」は、「過保護である」という意見が半数を超えたが、差はわずかだった。調査は08年7月23日から29日に実施した。