東大合格者有名私立が減少 地方公立高校の「反撃」始まる 

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   東大合格者の高校ランキングによると、名門・開成高校(東京)が129人と前年比59人減、灘高校(兵庫)が95人で同19人減と、有名私立高が軒並み「凋落」していることが分かった。一方で、地方の公立高校が躍進、その秘密を追った。

公立高出身の合格者は「100人近く」増加

   週刊朝日は2009年3月20日号で、東京大学合格者・高校ランキング(前期日程・速報版)を掲載した。順位は、開成、灘、その後麻布(東京)、栄光学園(神奈川)、聖光学院(神奈川)ラ・サール学園(鹿児島)と続いている。いずれも「私立」で「中高一貫」の名門。その一方で、岡崎高校(愛知)が07年の26人から40人(08年)、42人(09年)、富山中部高校(富山)が07年の14人から20人(08年)、25人(09年)など、多くの公立高校が東大合格者を近年増やしている。ランキング「詳報」は週刊朝日09年3月27日号に掲載される。

   ある名門私立高校の進路指導主任は、07年と08年を比較すると、公立高校出身の合格者数は「100人近く」増加していると話す。その背景には2つの側面があるようだ。

   1つ目は東大が「発信力」を強化していること。教育、研究面で「世界レベル」を目指し、積極的に全国の優秀な生徒を集めようとしているからだ。

「例えば以前には『大学案内』さえなかった。小宮山総長になって作成を始め、5万部がすぐになくなったそうです。他にもホームページの充実や地方での説明会など、多様な取り組みをしていますよ」

   2つ目は「地方大学のリスク」。

「国立大学にも大学淘汰の波は及びますから、少しでもリスクを避けるために地方の高校が首都圏の大学へと志向を変化させてきています」

このため、以前は地元の大学に入学していた生徒の上位層が、東大志望に変わっているのだという。

   また、東大合格を目指す漫画「ドラゴン桜」を読んで「自分でも東大を目指せる!」と気づき、志望した生徒も多いそうだ。人気漫画の影響は意外に大きい。

札幌南は「東大プロジェクト」を発足して躍進

   実際に公立高校はどのような取り組みをしているのだろうか。公立高校で合格者数第1位の岡崎高校は、合格者42人中浪人生が18人と多い。同校の進路指導主事は「年3回、浪人生全員を集めて『激励会』を行っています」と明かす。「浪人生の中には志望校に落ちてしまい泣いている子もいます。そんな子たちにきめ細かいケアをしています」

   25人の合格者を出した富山中部高校は、8年ほど前から中高一貫校に対抗するための「学校改革」を行ってきた。「伝統校ならではのデータの蓄積がありますから、学校独自の『基準点』があり、外部模試の結果に左右されずに具体的な学習・進路指導ができます」と自信を見せる。

「大都市では塾や予備校で勉強、という光景が目に付きますが、地方では学校機能と予備校機能を『まるがかえ』にしてやっているんです。課題も濃いものをたくさん出しているし、土曜日の特別授業や、数多くの面談で、生活から進路まできっちり指導しています」

   また、「大学探訪」として東大へ実際に訪問する、ということもやっているそうだ。

「地方の生徒にとっては具体的に『ここへ来る!』というイメージが湧き、モチベーションを高めるのは大切なことなんです」

   同様の取り組みをしているのは札幌南高校(北海道)だ。07年には6人だった合格者数が09年には20人に増え、大きく躍進している。同校では「東大プロジェクト」を08年から発足させ、年に15回、東京大学についての勉強会を開いているという。

「以前は東大がどこにあるのか分からない、文I、理Iの内容も分からない生徒がいたほどでした。東京は遠い、難しい、情報が足りない、といったイメージがあったのも確かです。それを払拭して正確な情報を与え、きっかけを作ろうとして始めました」

と同校の進路指導部長は話す。多いときには50人もの生徒が参加し、過去問のトレーニングもしているそうだ。

「常に『東大』という言葉が行き交うようになり、身近になりました。こういった取り組みが功を奏した面もあります。でも、生徒が本当に良く頑張ってくれました」

と嬉しそうな様子だった。

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