東大合格者有名私立が減少 地方公立高校の「反撃」始まる 

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札幌南は「東大プロジェクト」を発足して躍進

   実際に公立高校はどのような取り組みをしているのだろうか。公立高校で合格者数第1位の岡崎高校は、合格者42人中浪人生が18人と多い。同校の進路指導主事は「年3回、浪人生全員を集めて『激励会』を行っています」と明かす。「浪人生の中には志望校に落ちてしまい泣いている子もいます。そんな子たちにきめ細かいケアをしています」

   25人の合格者を出した富山中部高校は、8年ほど前から中高一貫校に対抗するための「学校改革」を行ってきた。「伝統校ならではのデータの蓄積がありますから、学校独自の『基準点』があり、外部模試の結果に左右されずに具体的な学習・進路指導ができます」と自信を見せる。

「大都市では塾や予備校で勉強、という光景が目に付きますが、地方では学校機能と予備校機能を『まるがかえ』にしてやっているんです。課題も濃いものをたくさん出しているし、土曜日の特別授業や、数多くの面談で、生活から進路まできっちり指導しています」

   また、「大学探訪」として東大へ実際に訪問する、ということもやっているそうだ。

「地方の生徒にとっては具体的に『ここへ来る!』というイメージが湧き、モチベーションを高めるのは大切なことなんです」

   同様の取り組みをしているのは札幌南高校(北海道)だ。07年には6人だった合格者数が09年には20人に増え、大きく躍進している。同校では「東大プロジェクト」を08年から発足させ、年に15回、東京大学についての勉強会を開いているという。

「以前は東大がどこにあるのか分からない、文I、理Iの内容も分からない生徒がいたほどでした。東京は遠い、難しい、情報が足りない、といったイメージがあったのも確かです。それを払拭して正確な情報を与え、きっかけを作ろうとして始めました」

と同校の進路指導部長は話す。多いときには50人もの生徒が参加し、過去問のトレーニングもしているそうだ。

「常に『東大』という言葉が行き交うようになり、身近になりました。こういった取り組みが功を奏した面もあります。でも、生徒が本当に良く頑張ってくれました」

と嬉しそうな様子だった。

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