「ビジネスホテル」の形態を取りながらも、実際はラブホテルとして営業する「偽装ラブホテル」が問題化している。学校の近くで営業するなど、近隣住民とのトラブルも耐えない。そんな中、警察庁が規制に向けて検討を始めることになったのだが、意外な人が「規制強化を容認していくと、マトモな商売もできにくくなる」と、かみついているのだ。
「類似ラブホテル」についても、規制に乗り出す
現状でも、「ラブホテル」は、風俗営業適正化法(風営法)で規制されており、公安委員会への届け出が必要だ。1984年の改正以降、住宅地や学校の周囲200メートル以内では営業できないことになっている。
ただし、風営法で定められているラブホテルの要件とは、(1)回転ベッドがある(2)面積1平方メートル以上の、人が横たわっている姿を映し出すための鏡がある(3)「性的好奇心をそそる物品」を販売する自販機があることなどの、いずれかに該当するものとなっている。逆に言えば、この条件を満たさなければ、法律上はラブホテルと見なされず、風営法の規制対象とはならない。
そのため、保健所からはビジネスホテルとして旅館業上の認可を受けながら、実際はラブホテルとして使用されているというケースが後を絶たないのだ。これらのホテルは、必ずしも違法ではないことから、警察では「類似ラブホテル」と呼称。ビジネスホテルの中でも、 (1)客が必ず通る共用の玄関がない(2)客の出入りの状況が外部から見通せない(3)外観などが著しく派手、といったものを類似ラブホテルに分類している。警察庁が08年春にまとめたところによると、全国で3593の類似ラブホテルが確認されており、風営法上の届け出があったラブホテルの数3963に迫っている。
これらの類似ラブホテルは、住宅地や学校のすぐ近くに建設されることも多く、地域住民とのトラブルが相次いでいた。
そんな中、警察庁は、援助交際の温床と指摘されている「出会い系喫茶」とあわせて、「類似ラブホテル」についても、規制に乗り出す方針を打ち出した。具体的には、風営法で定める規制対象を拡大する方向だ。近く、有識者の検討会が設けられる予定だ。