「番組では、キャスターは『有罪』と発言している」
今回、同センターが出した声明では、
「ニュース番組の司会者が日本国民に政局を伝えようとした発言が、国内のスキャンダルの責任がユダヤ人や米国にあるという、ありもしない陰謀を想起させた。言語道断で受け入れられない」
などとして田原氏を非難。真紀子氏についても、
「生放送中、すぐに田原氏の嘘に対して疑問を投げかけなかったことは残念」
と論評。テレビ朝日と田原氏に対して、公の場での謝罪を求めている。
番組中では、真紀子氏がロッキード事件の捜査について
「ですから、嘱託尋問調書の違法性と言うふうな問題ですとか、総理の職務権限はどうかとか、色々な問題が投げかけられた訳ですけれども、結果的に何も片付かないで来ている。政権交代をすることによって、もっと透明に、われわれ国民に政治が近づくんですよ」
と不満をぶつけた直後に、発音は不明瞭ながらも、田原氏が
「ただ、繰り返し言いたい。田中さんも、結局はやられた、と。ユダヤに。小沢さんもやられるんじゃないか、と」
と応じたように聞こえるくだりがある。同センターが問題視しているのは、この発言だとみられる。
もっとも、テレビ朝日側は、そもそも非難されるような「ユダヤ発言」はしていない、との立場だ。同局の広報部では、
「番組では、キャスターは『有罪』と発言しており、『ユダヤ』とは言っておりません。サイモン・ウィーゼンタール・センターに対しましては、何らかの対応を検討します」
とコメント。
問題とされた田原氏の発言の直後には、真紀子氏は
「間違えないでください。最後まで、最高裁判決いってませんから。(角栄氏が)亡くなったことによって。ですから『公訴はなかった、裁判はなかった』という結論になった訳でありまして…。1審とかなんかの判決がすべてで終わったわけではありません」
と応じている。確かに、テレビ朝日側が言うように、田原氏の発言の「ユダヤ」という箇所を「有罪」と置き換えると、「田原氏の発言に対して、真紀子氏が『角栄氏の有罪は確定した訳ではない』と反論している」と理解することができそうだ。少なくとも真紀子氏は「有罪」と受け取ったようだ。
テレビ朝日側は、同センターから何らかの直接のコンタクトがあった際には、事情説明をするなどの対応を検討しているという。