ETC搭載の普通車両が2009年3月末から、土日祝日は都市圏を除く高速道路を1000円で通行できることになり、観光地では客足の伸びが期待されている。しかし、一方で「周辺道路の渋滞がひどくなるのでは」との心配も相次いでいる。
警備員を増やし、駐車場への誘導を行う
観光地ではいち早く渋滞対策を打ち出したところもある。たとえば、長野県伊那市。ここは1500本以上ものタカトオコヒガンサクラが咲き乱れる、有名な桜の名所だ。
伊那市では09年4月4日から5月の大型連休ごろまで、「高遠城址(たかとおじょうし)公園さくら祭り」を開催する。08年の来場者は29万人だったが、今年は高速道路値引きサービスもあるからと、例年以上の集客を期待している。
ただ、「さくら祭り」では市内の道路が大混雑する。とりわけ今年は客足の増加を見込んでいるため、市内では昨年の30人を超える警備員を増やし、駐車場への誘導を行う。
同市の観光協会は、
「多いときには市内から伊那のインター付近まで混雑したことがあった。市内に入ると田舎道で狭いですから、早め早めの対策をとりたい」
と話している。
また、栃木県那須塩原市の商業施設「那須ガーデンアウトレット」。08年7月のオープン時には、駐車場に入ろうと一部の道路が大渋滞したことがあった。同施設の駐車場数は3000台。5月の大型連休時にも渋滞が予想される。
担当者は、今回の割引サービスで「お客さまが朝から来店するのか、那須・塩原地域からの帰りに立ち寄るか、来客数はどれくらいか、まだまだ予測がつかない」という。ただし、駐車場に入りきらない混雑が続いた場合は、次のような対策をとる可能性があると話す。
「オープン時と同様、那須塩原駅前に2000台規模の駐車場を借りて、シャトルバスで送迎します。また、施設の半径1キロメートル以内の場所に駐車場を借りて対応したい」
そして、同施設から高速道路を利用して帰る際には、最も近い黒磯板室IC(09年3月29日開通予定)ばかりが混雑しないよう、隣接の西那須野塩原ICや那須ICへと分散して誘導したい考えだ。施設内では、帰宅時のルートを示した「お帰りマップ」も配布しているという。
現時点では具体的にどこが、どれくらい混雑するかは不明
もちろん、高速道路そのものも渋滞が激しくなりそうだ。mixi日記には高速道路値引きサービスに対して、次のような不安が書き込まれていた。
「スノボとか旅行行きやすくなるなぁ(中略)でも渋滞がひどい事になりそう…」
「ただでさえ土日祝は高速多いのに、絶対渋滞起こるやろうなぁ」
「今までお金が無くて乗れなかった若者達(運転歴浅い)も乗りだすのも不安」
ある個人のブログでは、3月20日からいち早く値下げする「東京湾アクアライン」を使って、三連休は房総方面へ出かけたいと書いている。別の人は2009年3月10日、バスガイドから聞いた話として「20日からは、このアクアラインも大渋滞になるから来ないほうがいい」と言われたと紹介。開通時には「海ほたる」に到着するのに2~3時間待ちだったことを引き合いに、それ相当の渋滞があるのではと危惧している。
とはいえ、渋滞の予測が立たないのも実情のようだ。東日本の高速道路を管理する「NEXCO東日本」によると、
「上限1000円の割引ははじめてのこと。現段階では具体的にどこが、どれくらい混雑するかはわからない。4月中旬には渋滞予測が発表できると思います」
と話している。