回復の兆しをみせる中国経済  海運や鉄鋼、電気機器など中国関連株が大健闘

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   海運や鉄鋼、電気機器、石炭・石油関連といった「中国関連株」が大健闘だ。世界恐慌を思わせる景気悪化を受けて、東京証券取引所の日経平均株価が連日のようにバブル期最安値を更新するなかで、回復の兆しをみせる中国経済に「期待」した、一歩先取りした投資先として注目されている。

4兆元の景気対策、「8%成長」に好感

   2009年3月11日の「中国関連株」は、電気機器のコニカミノルタ・ホールディングスやキヤノン、機械のTHK、精密機械のシチズン・ホールディングス、ゴム製品の横浜ゴムなどの値上がりが目立った。平均株価がバブル期最安値を記録した翌日だけに、株価は前日比321円14銭高の7376円12銭と大きく反発したが、「低空飛行」であることに変わりはない。

   そうした中で、中国関連株はまさに「大健闘」といえる。

   08年8月の北京五輪後の中国経済は、世界的な金融危機の影響で、それまでの2ケタ成長がウソのように急激に冷え込んだ。中国内の株式市場も、3月11日の上海総合指数が2139.025と前日比19.543ポイント下げるなど、このところ一進一退を繰り返している。銀行株や証券株が乱高下する展開で、日米欧の金融不安が飛び火したままだ。

   しかし、中国経済は回復の兆しがある。中国政府はいち早く4兆元(約58兆円)の景気対策を打ち出し、2010年までに投入する。また3月5日に開かれた全国人民代表会議(全人代)で、国内総生産の「8%成長」に向けて確固たる姿勢を示したことが高く評価されている。

   日本総合研究所は、「インドやブラジルとともに中国経済の先行きを不安視する見方は少数派だ」と指摘。「1年後に所得が増加するとの見方も少なくない」という。日米欧と新興国の政府を10点満点で評価した「金融情勢改善能力」でも中国は6.7点と、17か国中最高点をマークした。

建設機械や鉄鋼など公共投資関連に注目

   第一生命経済研究所の嶌峰義清・主席エコノミストは、「中国経済は08年11月をボトムに、生産や企業の受注判断が急速に改善しはじめています。経済環境の激変を受けて、政府も公共投資を急ぎ進めているものと思われます」と話す。

   いま、中国向けビジネスで恩恵を受けているのは「公共投資」、中国のインフラ整備にからむ分野で、たとえば建設機械や鉄鋼、建材、資源や海運、精密機器などだ。

   鉄鉱石などを運ぶ船舶の運賃を示すバルチック海運指数が08年12月を底に上向きはじめ、薄日が射してきた海運業界だが、それも中国の鉄鉱石需要が支えているといっていい。2010年の上海万博を控えて、なお旺盛な需要が見込まれている。

   世界中で不振をきわめる自動車業界だが、たとえばトヨタ中国は、工場の稼働休止などで生産調整を行ってはいるものの人員削減には手をつけずに済んでいて、日本国内に比べればまだ「軽症」。現地生産・現地販売なので、在庫調整にめどが立てば復調がみえてくる。

   「工場の稼働停止」や「減産」の文字が目立つなかで、白物家電向けモーター駆動ユニットを生産する日本電産サンキョーは、浙江省に建設中の第2工場を5月から稼働する計画で、中国の消費拡大に、大いに期待している。

   製造業のみならず、最近は小売・流通業の進出も目立ちはじめた。中国経済の成長を見越した日本企業の進出はなおも続く。

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