高速1000円「超分かりにくい」 国交省など問い合わせ殺到

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   高速道路1000円値下げの内容が「分かりにくい」と、国交省や高速道路会社に問い合わせが殺到している。首都高、阪神高速やそれ以外の高速の「大都市近郊区間」を通ると別料金になるなどその内容が複雑で、麻生首相さえ間違えたほどだ。国交省では、料金検索システムで分かるようにしたいというが、本当に混乱しないのか。

麻生首相でさえ間違える複雑な料金制度

   発言が事実とすれば、一国の首相が大きな勘違いをしたことになる。

   ETC搭載の普通・軽自動車なら2009年3月28日から土日祝日の休日が上限1000円、となる見通しになった地方部の高速料金。麻生太郎首相は、那覇市内で3月7日にした講演で、長距離ながらお得な区間の例を挙げた。朝日新聞の8日付記事によると、こう言ったというのだ。

「例えば仙台から東京へ来て、東京から首都高抜けて、静岡まで行くというと結構な値段すると思いますよ。そういったのも一律1000円にします」

   ところが、首都高の場合は、土曜日を除く休日なら、政府の同じ経済対策で3月28日から、現行700円が終日3割引で500円の別料金になる。首都高、阪神高速を除く高速道路の「大都市近郊区間」は同日から、土日祝日の休日の場合、午前6時~午後10時は新たに3割引になる見通し。それ以外の夜間早朝は、現行の5割引のままだ。つまり、仙台から静岡までは、首都高500円と高速の「大都市近郊区間」(夜間早朝)1050円を合わせ、最も安くて2550円かかる計算になる。

   首相が、自らの政策さえ誤解するほどだから、一般の人にとっては複雑極まりない。施行日が決まってからも、国交省には、制度の趣旨ばかりでなく、本来は高速道路会社が受ける個別ルート料金まで問い合わせが殺到している。各高速会社も、対応にてんやわんやの様子だ。

   この制度で分かりにくい点は、多岐にわたる。まず、対象外の「大都市近郊区間」がどこなのか、各高速道路会社のホームページで確認しないといけない。例えば、東北道では加須ICまでがこの区間で、同じ埼玉県の羽生ICは「地方部」に入る。

   また、高速会社ごとにも違う既存の割引システムとの兼ね合いはどうなるのかという点だ。地方部では休日昼間5割引の制度があるが、1000円の新料金制度と合わせるとどうなるか分かりにくい。実際には、2000円未満なら5割引の適用になり、3月28日から昼間の指定がなくなって終日になる。

日本海側ルートを通れば仙台―静岡1000円

   結局、安くなるかどうかは、選択するルートによる部分が多いのだ。実は、麻生首相の発言は、首都高を経由する、という部分がなければ正しいことになる。

「日本海側のルートを通れば、確かに、仙台から静岡までは1000円で行くことができます。近道になる東京を回らなければ、そうなるということです」

   国交省有料道路課の企画専門官は、こう明かす。

   しかし、1000円の「地方部」だけ回ろうとしてもできないこともある。

   最も距離が長い青森東ICから鹿児島ICまでは、一部に「大都市近郊区間」がある名神高速を経由しなければ行くことができない。この区間の料金は、夜間早朝なら5割引で1100円になるので、計2100円かかる計算になる。

   朝日新聞の2009年3月2日付記事によると、東京から首都高と東北道を乗り継いで仙台へ出かける場合でも、料金体系が現行の6通りが17通りにも増える。それも、2000~7230円と料金に3倍以上の開きがあるという。2000円になるのは、首都高の日祝日500円、東北道の大都市近郊区間500円(夜間早朝の5割引)、地方部1000円を足した場合だ。記事では、「複雑すぎてマニュアルが手放せない」という東日本高速の幹部のぼやきや、「選挙対策から出てきた値下げで動機が不純。効果も疑わしいし、天下の愚策になりかねない」とする高速会社幹部の苦言を紹介している。

   国交省の企画専門官は、新料金制度について、こう説明する。

「確かに、近道を通ったり、東京を回ったりなどすれば、料金はもっと高くなります。会社独自の割引制度もあり、料金体系が多岐にわたり複雑なのは確か。しかし、料金検索システムができれば、分かりやすくなり、よりよいサービスが提供できると考えています」
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