日本海側ルートを通れば仙台―静岡1000円
結局、安くなるかどうかは、選択するルートによる部分が多いのだ。実は、麻生首相の発言は、首都高を経由する、という部分がなければ正しいことになる。
「日本海側のルートを通れば、確かに、仙台から静岡までは1000円で行くことができます。近道になる東京を回らなければ、そうなるということです」
国交省有料道路課の企画専門官は、こう明かす。
しかし、1000円の「地方部」だけ回ろうとしてもできないこともある。
最も距離が長い青森東ICから鹿児島ICまでは、一部に「大都市近郊区間」がある名神高速を経由しなければ行くことができない。この区間の料金は、夜間早朝なら5割引で1100円になるので、計2100円かかる計算になる。
朝日新聞の2009年3月2日付記事によると、東京から首都高と東北道を乗り継いで仙台へ出かける場合でも、料金体系が現行の6通りが17通りにも増える。それも、2000~7230円と料金に3倍以上の開きがあるという。2000円になるのは、首都高の日祝日500円、東北道の大都市近郊区間500円(夜間早朝の5割引)、地方部1000円を足した場合だ。記事では、「複雑すぎてマニュアルが手放せない」という東日本高速の幹部のぼやきや、「選挙対策から出てきた値下げで動機が不純。効果も疑わしいし、天下の愚策になりかねない」とする高速会社幹部の苦言を紹介している。
国交省の企画専門官は、新料金制度について、こう説明する。
「確かに、近道を通ったり、東京を回ったりなどすれば、料金はもっと高くなります。会社独自の割引制度もあり、料金体系が多岐にわたり複雑なのは確か。しかし、料金検索システムができれば、分かりやすくなり、よりよいサービスが提供できると考えています」