「言葉は、状況に応じて、必要があれば使われてもいい」
「キチガイ」は、差別意識がなく使ってもやはりダメなのか。話し言葉で代わりに、「精神障害者」と言い換えると違和感があるが、どうなのか。ゲストや一般人が発言してもいけないのか。
こうした疑問点について、フジテレビの広報部では、「発言内容によりますが、不適切だと考えれば謝罪することになります。その基準については、外部には公表していません」と話す。一方、民放連では、「言葉は、状況に応じて、必要があれば使われてもいいはずです。フジテレビの判断だと思います」としている。
また、差別的な表現だと放送禁止にすることについては、識者の間で、「事なかれ主義だ」「臭いものにフタをするのはよくない」などとよく批判が上がる。差別意識がなく使う言葉まで禁止にすると、逆差別につながることはないのか。
これに対し、フジでは、「それは話を広げすぎです。そこまで説明する話ではないと思います」と言う。民放連では、「テレビは、いろんな方が見ているという特性があります。チャンネルをひねれば流れてきてしまうので、表現に気をつけて安全・安心な情報だけを流すのは当然です」として、キチガイなどの表現に傷つく人がいる以上、放送できないことも仕方がないとする。
沖縄国際大の山口真也准教授は、テレビなどの過剰な自主規制に対し、疑問を呈する。
「うるさい団体がいるからダメで、あんまり言ってこなければいいというのであれば、変だと思います。差別的な意図を持ってキチガイなどの言葉を使うのはダメだと思いますが、文学作品などを含めて、何かを伝えるのに必要なときもあります。まず、差別とは何かをしっかり考えて、人を傷つけないようにしながら言葉を使うべきです」
さらに、山口准教授は、キチガイなどの言葉を使った本人ではなく、アナが勝手に代弁して謝罪したとしたらおかしいと指摘する。
「アナが本人から代弁するよう言われたのなら話は別ですが、基本的に本人が発言の責任を取ればいいと思います。間に入るメディアが、過剰反応してはいけませんね」