石橋をたたいて「渡らない」 大和証券の「慎重経営」

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   証券業界では、大和証券グループ本社の「慎重姿勢」が話題になっている。経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザースの買収を検討したが、軍配は野村ホールディングス(HD)に。経営再建中のシティグループは、傘下の日興グループ証券の売却を、大和の提携先、三井住友フィナンシャル・グループ(FG)に打診したが、「大和には話がない」(大和関係者)。野村に比べて金融危機によるダメージは少なかったが、「万年2位に甘んじていていいのか」との声も出ている。

「大和の海外事業はそれほど痛手を被っていない」

   リーマン破綻後、大和証券は買収の検討を進めた。対象は、リーマンのアジア・太平洋と、欧州・中東の両部門。大和証券は海外事業の発展につなげるチャンスと踏んだが、「両部門の全従業員を雇用する条件が障害になった」(関係者)ために買収を断念。リーマンの両部門は、野村HDにさらわれた。

   日興コーディアル証券、資産運用会社の日興アセットマネジメントの売却交渉をめぐっても大和は沈黙を守っている。法人業務で提携している三井住友FGが日興買収に名乗りを上げているため、「実質的には三井住友と大和の連合で日興を買いに来ているのと同じ」(大手証券幹部)という見方があるものの、大和社内では「打診がないのは正直さみしい」との声がある。

   大和が慎重なのは、「物事を慎重に考えるタイプ」といわれる鈴木茂晴社長の意向が影響しているとの見方がもっぱらだ。確かに、金融危機による傷は野村HDと比べると小さかった。

   野村HDは、サブプライムローン問題など海外での積極投資が裏目に出て、08年4~12月期で5000億円近い最終赤字を計上したが、「大和の海外事業はそれほど痛手を被っていない」(大和幹部)。また、野村HDは、旧リーマン社員を抱えたことによる人件費の大幅増や、社員の融合などに苦慮しており、リーマンの買収効果は未知数だ。仮に日興を買収しても市場環境が悪い中、どのぐらいの買収効果が望めるのかは見えにくく、店舗や人員のリストラ費用がかさむだけとの見方はある。

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