メーカーで研究開発に携わる「技術系派遣社員」の多くは、派遣元と期間を定めない雇用契約を結んでいる。「常用型派遣」と呼ばれ、派遣先で仕事がない「待機」状態であっても、派遣会社は給与を支払わなければならない。製造業不況で仕事が減り、こうした人材派遣会社は苦しい状況に立たされている。
常用型は「待機」時にも給与が支払われる。
人材派遣大手のラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)は製造業への派遣事業から撤退する。技術者を派遣していた3社のうち、「常用型派遣」で派遣先が見つかっていない「待機社員」4000人を2009年4月15日付で解雇する。派遣会社によるこれだけ大規模なリストラは他に例がない。さらに、グループ各社の管理、営業部門の社員500人を解雇し、「単純労働」派遣の子会社、プレミアラインを売却する。09年3月2日に発表した。
登録型の場合、雇用期間は「派遣されている期間」であるのに対し、常用型は「派遣元と期間を定めない雇用契約」を結び、「待機」時にも給与が支払われる。
常用型派遣は技術職、研究開発職に多い。
都内大手外資系メーカーで技術職に従事する30歳代男性(正社員)は、
「社内に常用型派遣社員は結構いますよ。更新して何年も同じ企業で働くケースもあります。技術力があれば、正社員よりも稼げるという話です」
と明かす。
メーカーで新たなプロジェクトが始まると、メンバーの一員として組み込まれ、派遣先の正社員と同レベルの仕事をする。
研究開発職はメーカーにとって欠かせない職業で、「派遣切り」や「雇い止め」とは無縁のようだが、大手製造業の売上げが前年比2ケタ減という不況下で、情勢が変わってきている。
製造業の業界団体、日本生産技能労務協会(JSLA)の事務局長は、こう指摘する。
「先行き不安が収まらず、技術系派遣の仕事に影響が出始めています。常用型では、給与が払えずリストラするケースが今後も出てくるでしょう。一方、技術者にもランクがあり、不況下でも引っ張りだこの人もいます。技術のない人から切られるというのは、致し方ないことです」