違法献金事件で、民主党・小沢一郎代表の秘書がゼネコンを統率し、公共工事受注に強い影響を与えていたのではないかと報じられている。中には、ゼネコン汚職時期の腐れ縁が今も続いていると指摘する新聞もある。田中角栄時代にクローズアップされた政治家と企業の利権構造は、変わっていないのか。
業界に影響力ある秘書、羽振りよかった?
「最近、盛岡で派手に飲んでいると聞いていましたよ。なんで、そんなにお金があるのかなと思っていました」
政治資金規正法違反の疑いで2009年3月3日に逮捕された公設第一秘書の大久保隆規容疑者(47)。その岩手県釜石市議時代を知るある市議は、こう明かす。この市議によると、大久保容疑者が建設業界に影響力を持っていることはうわさで耳に入っていた。羽振りのよさは、そのことも関係があるのではないかということだ。
その「影響力」について、朝日新聞は、3月4日付記事で、ゼネコンの極秘資料などから具体的な話が分かってきたと報じた。それによると、大久保容疑者は、「小沢王国の番頭」「側近中の側近」として、主に東北地方の公共工事について、ゼネコン側の依頼を受けて根回しをしていた。
記事では、「営業所長は大久保氏を通じて今年度中にゼネコンのしかるべきトップと支店長で直接小沢党首に面談し『お願い』をすること」(極秘資料から)、「秋田、青森を含め北東北3県の大規模公共工事の受注は、小沢事務所関係者の意向で左右されると、ゼネコン側はみていた」(ゼネコン関係者の証言)などと具体的な根回しの内容を紹介している。
前出の釜石市議も、こんな小沢事務所の剛腕ぶりを明かしている。
「特定の業者は、小沢さんのおかげで仕事をもらっています。例えば、三陸自動車道は、小沢さん支援の企業が受注していますからね。逆に言えば、追い出された不満の業者もいっぱいいるということですよ。今回の逮捕について、業界では、『歓迎』『残念』それぞれの反応があるでしょう。仕事にあぶれていた業者は、手を叩いて喜んでいると思いますよ」