「日本でiPhoneが売れない理由」 専門家コメントはねつ造だった

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   アップルの携帯電話「iPhone」について、「Wired」電子版(英文)が、「日本人に嫌われ売れていない」と報道した。この記事は話題になり、ネット上で「なぜ日本でiPhoneが売れないのか」の議論が起こったが、実は、日本で売ない根拠を分析した日本人ジャーナリストの発言は「ねつ造」だった。記事自体の信憑性は薄れ、「Wired」には読者からの批判が多数寄せられているという。

「日本でiPhoneを持ち歩くのはマヌケと思われる」

   問題の記事は09年2月26日に掲載された「Why the Japanese Hate the iPhone」(なぜ日本人はiPhoneを嫌うのか)。iPhoneは地球上のどの地域でも喜ばれ楽しまれているが、日本だけは違う。販売不振が続き、とうとう日本では無料で提供される事態になった、と書いている。確かにソフトバンクは、新規契約者について「iPhone 3G 8GB」が「本体価格が実質0円」になる新サービスを09年2月25日に発表している。

   記事はiPhoneが日本で嫌われる理由について、利用料が高いこと、日本の携帯電話に比べ機能が劣ること、デザインがダサイことなどをあげ、「日本の実情には合わない」と説明。それを裏付けるため、海外の専門家と2人の日本のジャーナリスト林信行さん、平田大治さんのコメントを紹介した。しかし、この日本人の2人のコメントは全くの「ねつ造」だったようだ。林さん、平田さんが自身のブログなどで「コメントはしていない」と訴えているからだ。

   林さん、平田さんのブログによると、今回の騒動はおおむねこんな経緯だったようだ。話題になっている記事を読んで、自分の名前を発見。コメントをした覚えはないのに「iPhone」が日本で売れない理由が語られていた。しかも、

「日本でiPhoneを持ち歩くのはマヌケと思われる」
「iPhoneを欲しいと思う人は日本では一人もいない」

など、とんでもない表現だった。2人は直ぐさま「そんな発言はしていない」と、日本語と英語でブログを書いた。記事のコメント欄でも表明し、読者をブログに誘導するためのアドレスを置いた。平田さんは09年3月2日付けのブログで、仮にコメントを求められたとしたら、

「iPhone はみんなカッコイイと思っているじゃないかな、わたし iPhone も持ってるし、って答えますよ」

などと書いている。

根幹部分は「基本的に正しい」として記事は削除されず

   この2人の抗議行動がネットで注目され、「Wired」には読者から多くの批判が寄せられた。現在、この記事は修正され、該当記事の下に林さん、平田さん、読者への「謝罪文」が掲載されている。「謝罪文」には、

「ジャーナリズムの世界では過去の記事や声明からコメントを引用することはよくあることだが、今回はそれを取り間違えた」

としている。また、多くの読者から間違いの指摘や批判が来たことに感謝している、とも書いている。

   ただし、この記事は削除されなかった。削除しない理由は、記事の根幹部分については「基本的に正しい」と考えているためで、

「iPhoneが日本で売れていない証拠を持っている」

としている。その「証拠」というのは、iPhoneの仕様やデザインは、日本人には馴染みにくいからだという。

   記事にあるように、日本でiPhoneは本当に売れていないのか。ソフトバンクにJ-CASTニュースが問い合わせたところ、同社広報は販売台数の公表はしていないが、

「売れていないなどと私達は全く感じていません」

と反論した。「0円キャンペーン」については、iPhoneの素晴らしさを1人でも多くの人に知ってもらうため、としている。

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