社長交代で「技術力のホンダ」の原点に立ち返れるのか

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技術畑を中心に歩んだ新社長

   こうしたリストラ策の方向性にめどをつけたことで、福井氏は新たなリーダーにホンダの将来を託した形だ。伊東氏は福井氏より9歳も若い。1990年に発売したスポーツカー「NSX」の開発に携わるなど、技術畑を中心に歩んだことでも実績がある。4月にはホンダ技術研究所の社長にも就任し、技術面からもホンダを主導する予定だ。伊東氏を頂点にすえることで、同社は「技術力のホンダ」の原点に立ち返り、ホンダの抜本的な立て直しを図る体制を整えたといえる。

   自動車大手では、トヨタも1月、豊田章男副社長(52)が次期社長に就任する人事を発表した。14年ぶりに創業家出身者がトヨタのトップの座につくことになる。「世界の勝ち組」と呼ばれたトヨタも経済危機の影響は深刻で、09年3月期には4500億円という大規模な連結営業赤字に転落する見通しだ。章男氏には、創業家の求心力を生かし、自動車市場が縮小する中でも収益を生み出せる体質になるよう、トヨタを変革させる役目が課されている。

   未曽有の経済危機のなか、新たな経営体制で再生を目指すホンダとトヨタ。ただ「100年に1度」とされる経済危機を乗り越えるのは並大抵ではなく、新たな両社のトップがいかに現状を克服し、道を切り開いていくか。その手腕が試されようとしている。

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