人気音楽ユニット「EXILE」がメンバー倍増を発表し、ファンから疑問や戸惑いの声が上がっている。所属するエイベックスの社長ブログにはコメントが殺到し、炎上状態に。幅広いエンターテインメントを目指すというものの、どこかのアイドルグループのようだというのだ。
エイベックス社長のブログにコメント殺到
14人組に衣替えしたEXILEの公式サイト
「EXILE48でいいだろ」「あぁ...モー娘。みたくなるわ」
7人組だった「EXILE」が2009年3月1日、メンバーを倍増させて14人組にすることを発表した。すると、ネット上では、この2ちゃんねるの書き込みのように、アイドル化を指摘するなどの疑問や戸惑いの声が噴出している。モーニング娘。は拡大して逆に人気が落ちたとして、懸念する声もあるようだ。
大所帯化は、リーダーのHIROさん(39)がプロデュースした弟分のユニット「J Soul Brothers」が吸収合併される形で実現する。発表では、やや若い世代を加え、「総合エンターテインメント集団」として音楽の幅を広げるのが狙いだと説明している。
とはいえ、EXILEは今、最も勢いのある音楽グループだ。08年にはベストアルバムを3枚リリースして計450万枚を売り上げ、日本レコード大賞など音楽賞15冠を達成。09年3月2日には、2年連続で日本ゴールドディスク大賞に選ばれている。それだけに、なぜ今と、ファンの間では、唐突感が否めなかったようだ。
騒ぎは、所属レコード会社エイベックスの松浦勝人社長のブログにも飛び火した。コメントには、「彼らが決めた事!長い目でみて支えてあげませんか??」などと理解する向きはある。しかし、大半は大所帯化に否定的で、「こんなのEXILEじゃない」「元のEXILEに戻してくたさい」といった書き込みが相次ぎ、コメントが上限の3000件に達する炎上状態になった。06年9月に参加者1万人のボーカルオーディションを行ったことを挙げ、「TAKAHIROのオーディションの意味はなんだったんだろうか…」と問う声も。中には、「お金目当てしか思えない」と厳しい指摘もあった。
J Soul Brothersは、09年2月25日に出した同名のメジャーデビューアルバムがオリコンのデイリーチャート1位を獲得した。それだけに、ショックだったファンもいたようで、「本当に裏切られました」などのコメントが寄せられている。
「総合エンターテインメント集団」目指す
今回のメンバー増員発表は唐突なようだが、EXILE側にとっては、長く温めていた構想であるらしい。
エイベックスの松浦勝人社長は、自らのブログの2009年3月1日付日記で、EXILEリーダーのHIROさんが、01年のデビュー前に松浦社長に出した1枚の企画書で大所帯化を推測できたと明かした。そこには、「総合エンターテインメント集団」として、将来やりたいことの相関図が書いてあったというのだ。
松浦社長は、「書くのは簡単だけどやるのは大変だよ」とHIROさんに言った。そして、1年ほど前に、J Soul Brothersとの合体について具体的に話があったという。
松浦社長は、HIROさんがファンの戸惑いをある程度予想していたと明かしたうえで、勇気と自信を持って大所帯化に踏み切ったと理解を示す。
「新しいことにチャレンジすると時には必ず批判や反対も伴う。しかし、それを乗り越えられるだけの自信がヒロにはあるのだろう。僕も彼らはそれらを吹き飛ばすほどのエンターテインメント集団になると確信している」
具体的に大所帯で何をやるかには触れていないものの、こうも言う。「EXILEは常に進化し、また、変化し、形を変えていく。まだまだ彼らにはこれからもずっと驚かされ続けるだろう」
HIROさんは、89年に結成された別の音楽ユニット「ZOO」で活動しヒット曲も出したものの、人気が伸び悩んで95年に解散している。スポーツ紙や夕刊紙では、こうした苦境を知る彼らが「恵まれた今こそ挑戦すべき」とメンバー増員を決意したと報じている。
J-CASTニュースでは3月3日午後、ファンから戸惑いの声などを実際に聞いたことについてのコメントを聞こうとした。EXILE所属事務所のLDHでは、担当者が記者会見資料をFAXしてから答えるとしていたが、その後連絡しても「外出中」とのことだった。エイベックス・エンタテインメントでは、「記者会見でお話ししたことやホームページなどでお知らせしたことがすべてです。それ以外のお答えは、差し控えさせていただきます」と話している。