昼間からシャッターが降りたままの店舗が目立つ
九州経済そのものが苦境に立たされるなか、麻生氏の地元である飯塚市の状況はさらに厳しい。
飯塚市がある筑豊地区は、60年代の炭坑閉山以来人口の減少が続き、少子高齢化が進行。経済的に衰退してしまったとされている。例えば高齢化率(07年調べ)を見ても、福岡県の平均が20.4%なのに対し、飯塚市は23.2%。さらに、生活保護率は4.5%で、県内に66ある市町村のうち、12番目の高さだ。なお、福岡・北九州・久留米などの都市圏では1.2~1.3%という水準だ。
県内の他地区と比べて、経済の面で足腰が弱いのは間違いなさそうだ。さらに、08年4月には、中心部にある商店街が火災に見舞われ、10棟が全半焼するという被害にあってもいる。昼間からシャッターが降りたままの店舗が目立つというのが現状だ。
なお、福岡県内の商工会では、定額給付金を地元の消費につなげようと、地元商店街限定で使える「プレミアム付き商品券」の発行を計画中だ。購入金額よりも1~2割多い額の買い物が出来る仕組みだ。福岡県でも、商品券印刷代などについて、1億5000万円の予算を計上する見通しだ。
福岡県商工会連合会の筑豊支所では、プレミアム付き商品券については、
「商工会議所と市内に4つある商工会との間で、現在話を詰めているところです」
と、具体的な検討を進めていることを明らかにした上で、麻生首相の「地元で使う」宣言については、
「すぐさま効果が出るかどうかは分かりませんが、『旗を振っていただいている』という姿勢は有り難いことだと思います」
と話している。
加えて、実は麻生氏、08年秋の就任以来、本当の意味での「地元入り」をしない状態が続いている。08年12月に九州国立博物館(福岡県太宰府市)で初めての日中韓サミットが行われた際、2日間にわたって福岡県入りしたものの、会談・視察など何らかの活動をしたのは福岡市・北九州市・太宰府市の3自治体のみ。「地元にお金を落とす」日がいつになるのかは、不透明な情勢だ。もっとも、解散総選挙の際には「お国入り」する可能性も低くはない。