若者2人に1人「花粉症」予備軍 根本的治療法はあるのか

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   スギ花粉などの花粉によって生じるアレルギー疾患「花粉症」に、4人に1人がかかり、若者は2人に1人が予備軍だと言われている。発症すれば、くしゃみが出て、目がかゆくなるといった症状を引き起こす。日常生活もままならない人も少なくない。症状を薬で緩和する治療法と、花粉エキスを注射で体内に取り込み花粉症を根本から治療する方法の2つがあるが、だれでも完治する方法は確立されておらず、新しい治療法に期待が高まっている。

放っておいたら悪化する一方

   花粉症は花粉によって生じるアレルギー疾患の総称で、体の免疫反応が花粉に過剰に反応して、くしゃみが出る、目がかゆくなるなどの症状が出る。さらに、鼻づまりによる頭痛、鼻や喉の炎症反応による微熱、だるさなどの症状を引き起こす。10年前には国民の15~16%程度だったが、いまや、25~26%が花粉症にかかっているとも言われ、毎年、花粉症に苦しんでいる人も多い。

   花粉が少ない年には症状が出ないこともあり、治ったと勘違いする人もいるが、自然治癒するのは数%で、ほとんどの人は治らない。放っておいたら悪化する一方なので、早めの治療が必要だ。主に2つの治療法がある。

   1つ目は、点眼薬、点鼻薬、内服液を使う「対症療法」。症状をやわらげることを目的とする。(1)花粉症のときに体内で増えるアレルギーの細胞を抑える(2)アレルギーの細胞から症状の原因となる物質(化学伝達物質)が放出されるのを制限する(3)ヒスタミンをはじめとする化学伝達物質が神経や血管に作用するのをブロックする。厚生労働省の調べでは、薬剤をうまく使い分ければ約5~6割の患者が快適に過ごせることがわかっている。

   もう1つは、花粉症を根本から治療する「根治療」。濃度を下げて薄くした花粉の抽出液を注射し、その後少しずつ濃度を上げていくことで免疫をつけていく「減感作療法」が代表的だ。花粉症の季節の3か月以上前から始め、2年以上続ける必要がある。はじめの3か月間は週に1回、次の2か月が2週間に1回、その後は1か月に1回注射する。注射した抗原がリンパ球を刺激するため、鼻の粘膜にあるアレルギーの細胞が減少することが報告されている。

   厚生労働省が行った研究結果によると、スギ花粉症に対する減感作療法で軽症、無症状に収まった患者は70%以上にのぼった。そのうち28%が薬を使わなくて済んだ。また、15歳以下の小児の方がより高い効果が表れることもわかった。調査はもっとも花粉が飛散した05年度に実施した。

   日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科の大久保公裕准教授は、

「減感作療法の効果は人によって異なります。症状が悪化している人や、小児がよく効きます。2~3年以上やれば完治する人もいますが、そうでない人もいます」

といい、個人差があるようだ。

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