大手銀行決算で起きている異変 トップ浮上は「りそな」

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   大手銀行6グループの2008年4~12月期連結決算は三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)とみずほFGの2グループが最終赤字、三井住友FGなど4グループが大幅減益と「ほぼ壊滅状態」(業界関係者)だった。米国発の金融危機による株価急落で多額の株式関連損失を計上し、邦銀特有の株式持ち合いという弱点をさらけだした形だ。

窮地に追い込まれた理由は「株式持ち合い」

   「ここまでひどいとは」。年明けに財務担当役員から4~12月期決算の概要を聞いた三菱UFJの首脳は絶句した。2008年9月のリーマンショック直後の10~12月期の株式関連損失は2880億円。三菱UFJが同じ時期に本業で稼いだ業務純益は2860億円だったが、これがまるごと吹っ飛んだ。

   三菱UFJは08年10月、経営難に陥った米モルガン・スタンレーに90億ドル(約8100億円)の巨額出資を実施し、その見返りに4~12月期決算で200億円の配当を得た。だが、保有する国内株式の多額損失の前には「焼け石に水」で、2005年10月のグループ発足以来の最終赤字(420億円)に転落した。

   3メガバンクで唯一黒字を確保した三井住友も危うく赤字に陥るところだった。2008年7月に5億ポンド(約700億円)を出資した英バークレイズの株価が年末に急落し、出資分の大半で損失処理を迫られる寸前だった。バークレイズの株価が持ち直して、赤字は免れたが、首脳は冷や汗をかいた。邦銀は一時、米欧勢に相次いで出資し、「復活の兆し」と騒がれたが、足元に火が付いた。

   大手行が窮地に追い込まれたのは、米欧と比べて高水準にある株式持ち合い。大手行は2000年代前半、当時の株価低迷を受け、保有株の圧縮を進めた。だが、敵対的買収が活発になった2005年以降、取引先の要請で買収防衛の株式持ち合いが復活していた。そこにリーマンショックが襲い、3メガ中心に保有株の急落で多額損失を計上せざるをえなかった。

「09年3月期決算でも、りそながトップ」との観測

   この結果、08年4~12月期決算の最終損益で6グループの首位に浮上したのは、4位が定位置だった、りそなホールディングス。りそなは03年の実質国有化後、本業に集中するため、価格変動リスクの大きい保有株の削減を急ピッチで進めてきた。他行に比べて保有株が少なく、業界では「09年3月期決算でもりそながトップかも」との観測も流れる。

   株価の影響を抑えるには保有株の圧縮が必要だが、大手行幹部は「融資競争が激しく、株式の持ち合いから簡単には手を引けない」とライバル見合いであることを打ち明ける。ただ、株価低迷は続きそうで、業界では「横並びで株式の保有を禁止する新たなルールを検討することも考えないといけない」との「妙案」もまことしやかに語られている。

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