ファイル交換ソフトによる情報流出が相次ぐ中、指定暴力団関係者のものと思われるファイルの流出が確認され、大騒ぎになっている。流出したのは、構成員の名簿や、シフト表など。珍しいものでは、過払い金返還訴訟の訴状や、組織運営上の心構えを書いた「訓示」のようなものもある。
「通常の場合は香典50万円」
流出が確認されたのは、2009年2月27日ごろ。流出したファイルの内容を見る限りでは、指定暴力団「九州誠道会」(本部・福岡県大牟田市)の中心勢力である「村上一家」関係者のPCがウイルスに感染したものとみられる。
構成員の肩書き、電話番号などが一覧になった「連絡表」をはじめとする、名簿関係が多く流出している。また、「組織と運営」というファイルには、
「一家内での私闘は厳禁である」
「若い者が無益な事件を惹き起こし、これにより逮捕される場合もあり得る為、少しでも服役者が出ぬように努力に務める事」
「総長宛の贈り物が本部に届いた場合、当番責任者が必ず先方へ御礼の電話を入れる事。(もちろん届いた物を確認の上、本部長・事務局長・組織委員長・等に連絡をする事。)」
などと、組織内での心構えを説く記述がある。さらに、幹部が死亡した時の香典の支給基準も明らかにされており、
「一家に対する貢献度により、考える事とする。長期服役等など、皆が死亡した本人を称えた場合は・・香典100万円。通常の場合は・・香典50万円」
と、「長期服役=組織に対する貢献」という考え方が浮き彫りになっている。
「過払い金返還訴訟」に関連したエクセルのファイル
それ以外で特徴的なのは、「引き直し」というエクセルのファイルだ。借金の利息の計算が簡単にできる仕組みで、いわゆる「過払い金返還訴訟」に関連したものと見られる。実際、流出したファイルの中には「訴状」というものが含まれる。訴状では、無職女性が福岡市内の信販会社に対して過払い金の返還を求めている。
「生活感」が漂うファイルもある。「紋付サイズ」というファイルには、構成員の身長、体重、ウエストなどが列挙されているほか、「灰皿」というファイルには、特注するとみられる灰皿のデザインが収められている。
いずれにせよ、暴力団関係者の資料が流出するのは極めて異例で、今後波紋を呼ぶことになりそうだ。