原油も為替も関係なし 世界中で値上がり
金価格に連動する上場投資信託(金ETF)への投資も増えている。ロンドン市場に連動する「SPDR(R)ゴールド・シェア受益証券」が上場している東京証券取引所によると、「株式相場の下落などによって、株価指数連動型などのETFが伸び悩むなか、金ETFはこの冬で一番好調」という。1月26日に一口7980円だった価格は、2月25日には9190円に。この1か月で約1200円上昇した。
大阪証券取引所の金ETFも好調。2月24日の売買高は約33万口で、ピークの08年3月の1日40~50万口に近づいてきた。
「いま価格が上昇している投資商品は金だけ」と田中貴金属はいう。その原因は、安定資産としての金の魅力が再評価されたから。
たとえば、08年3月の金価格は、原油価格の高騰に引っ張られていた側面もある。原油価格は08年夏のピークの3分の1にまで下落、現在は1バレル約50ドルで推移していて、金の価格上昇とはまったく連動していない。
また、米国だけでなく、欧州やインド、中国でも金が値上がりしている。
田中貴金属は「株式も、コモディティも下落が続き、安定した価格形成にある金に注目が集まった。金融商品として、いわば消去法の結果、投資資金が流れてきている」と分析している。
一般的に、金はインフレヘッジとみなされるが、それもいまの投資環境では関係ないようで、「デフレにも強い金」になっているわけだ。