電通が発表した「2008年(平成20年)日本の広告費」によると、新聞広告が大きく減る一方、インターネット広告は堅調な伸びを続けていることがわかった。インターネット広告費が新聞広告費を抜く日は近いのか。
新聞広告費12.5%減、インターネット広告費16.3%増
電通が2009年2月23日に発表した「2008年(平成20年)日本の広告費」によると、2008年の国内広告費は前年比4.7%減の6兆6926億円だった。媒体別に見ると、「新聞広告費」が12.5%減と大きく減少し、8276億円。「雑誌広告費」が11.1%減の4078億円、「ラジオ広告費」が7.3%減の1549億円、テレビは4.4%減で1兆9092億円だった。
同調査は、「新聞広告費」が落ち込んだ要因は、「北京五輪、洞爺湖サミット、環境をテーマとした企業広告などのプラス要因もあったが、新聞広告の低下傾向に歯止めがかかるまでにはいかず、(中略)景気減退が新聞広告費の減少に拍車をかける結果となった」と分析している。
一方、「インターネット広告費」は16.3%増で6983億円と堅調な伸びを続けている。検索連動型広告が22.9%と高い伸び率で、景気に関係なく、費用対効果を重視する広告主が多いことがうかがえる。また、テレビCMで告知したあとにインターネット検索へと誘導する、クロスメディア手法も定着してきた。
インターネット広告が登場したのは1996年。以来、2004年にはラジオ広告費を、06年には雑誌広告費を抜いた。今度、注目されるのは、インターネット広告費が新聞広告費をいつ抜くのか、である。
ネットの普及で消費者行動に変化
新聞とインターネットの広告費が、同じ伸び率でゆくと仮定して計算してみると、来年は新聞の広告費が7241億円、インターネット広告は8121億円となり、あっさり逆転する。実際にそうなるのか。
市場調査会社のシードプランニングが1月27日に発表した「2008~2009年のインターネット広告市場動向調査」でも、インターネット広告は年率6%~13%で伸びを続け、2017年には1兆円規模になると予測している。同社の担当者によれば、この傾向から考えれば、「数年以内にネットが新聞を追い抜く」と分析しており、早ければ、それが来年にもやってくるとの見方もあるそうだ。
インターネット広告が伸びているのは、使える広告費の減少で広告主が価格の安いインターネット広告にシフトしていることが挙げられる。また、インターネットは広告の効果をはかることができるのも魅力だという。さらに、若い層の新聞離れも急速に進んでいる。この層はインターネットでニュースを読むのが一般傾向で、この層を狙う広告がネットへ移るということになる。
もうひとつは、ネットの普及で消費者とメディアの相関関係に変化が見られることだ。前出の担当者は、ネットで検索した商品が購入に結びつく傾向があると指摘する。その検索するきっかけとなっているのが、テレビや新聞、ラジオで仕入れた情報だ。最近は、テレビでもネットの検索窓へと誘導するCMが目につく。
そうした消費者の傾向を考えると、ネットの広告を強化するだけでなく、購買のきっかけとなっている既存の媒体もおろそかにできない。「今後はこうしたメディアの役割を考えて、広告費の予算配分が変わるだろう」と見ている。