ネットの普及で消費者行動に変化
新聞とインターネットの広告費が、同じ伸び率でゆくと仮定して計算してみると、来年は新聞の広告費が7241億円、インターネット広告は8121億円となり、あっさり逆転する。実際にそうなるのか。
市場調査会社のシードプランニングが1月27日に発表した「2008~2009年のインターネット広告市場動向調査」でも、インターネット広告は年率6%~13%で伸びを続け、2017年には1兆円規模になると予測している。同社の担当者によれば、この傾向から考えれば、「数年以内にネットが新聞を追い抜く」と分析しており、早ければ、それが来年にもやってくるとの見方もあるそうだ。
インターネット広告が伸びているのは、使える広告費の減少で広告主が価格の安いインターネット広告にシフトしていることが挙げられる。また、インターネットは広告の効果をはかることができるのも魅力だという。さらに、若い層の新聞離れも急速に進んでいる。この層はインターネットでニュースを読むのが一般傾向で、この層を狙う広告がネットへ移るということになる。
もうひとつは、ネットの普及で消費者とメディアの相関関係に変化が見られることだ。前出の担当者は、ネットで検索した商品が購入に結びつく傾向があると指摘する。その検索するきっかけとなっているのが、テレビや新聞、ラジオで仕入れた情報だ。最近は、テレビでもネットの検索窓へと誘導するCMが目につく。
そうした消費者の傾向を考えると、ネットの広告を強化するだけでなく、購買のきっかけとなっている既存の媒体もおろそかにできない。「今後はこうしたメディアの役割を考えて、広告費の予算配分が変わるだろう」と見ている。