限られた時間で適切な処置施すには経験がものを言う
なくてはならない、大切な仕事だが、周囲の誤解を受けることも多い。映画の中で、広末さん演じる妻が、夫が納棺師の仕事をしていることを知り、「けがらわしい」とののしるシーンがある。介護や看護の仕事に興味がある若者が納棺の仕事を知り、人の役に立ちたいと目指すが、家族に反対されて止めてしまうことは実際にあるそうだ。
最近は葬儀屋が納棺をすることがあり、納棺師の仕事が減っている。
納棺師の会社、オフィストウセ(富山県)に勤務する50歳の男性は、
「昔に比べて葬儀屋や葬祭場のスタッフが納棺をすることが増えて、今は1日1件仕事があればいい方です。きれいなご遺体は誰も処置できるため、事故などで傷ついたご遺体の方が多く回ってきます。警察で作業をすることもあります」
と明かし、映画で見るよりもキツイ仕事のようだ。
片方の瞼がなかなかふさがらず、綿花を入れて、やや開きぎみに閉じさせたり、傷が有る顔にはリカバリファンデーションでカバーしたり、と遺体の状態によっていろんな処置をする。棺に入れるまで30~40分しかなく、迷っている時間はない。親族が見守る中、限られた時間で適切な処置を施さなければならず、経験がものを言う。
大変な仕事だが、故人の最期に携われる仕事で誇りを持って働いている人が多いのも事実。男性は「これからも、気持ちの入った納棺を続けていきたい」と話している。