「ドケルバン病」という聞き慣れない病気の患者が増えている。親指を酷使すると起きる腱鞘炎の一種で、手首の親指側が痛む症状が特徴だ。
「字も書けないくらい痛くなっちゃった」
手首の親指側には、トンネル状の「腱鞘」内部に、親指を動かす腱が2本通っている。親指を使いすぎると腱の表面に傷がついたり、腱鞘が厚くなったりして、炎症を起こすことがある。それが原因で、手首に痛みや腫れが出てくるのが「ドケルバン病」だ。症状が軽い場合は湿布や炎症を抑える軟膏などを塗り、手首と親指を休ませると改善するが、痛みが強い場合はステロイド剤の注射や、腱鞘切開手術が必要になるケースもある。
妊娠時や産後、更年期の女性がかかりやすく、ホルモンバランスとの関連があるといわれているが、詳しい仕組みは分かっていない。
親指使いすぎで思い浮かぶのは、ケータイやゲーム。
例えば、出産・子育てブログの「チビのすけ日記」を見ると、「携帯をいじりすぎて腱鞘炎になっちゃったの!!」とその驚きをつづっている。携帯電話の機種変更をした当日にずっと使用していたことで「字も書けないくらい痛くなっちゃった」そうだ。
巨大掲示板「2ちゃんねる」の腱鞘炎をテーマにしたスレッドでも、
「携帯ゲームしすぎで、右の親指悪化。。。」
「(親指付近腱鞘炎の)原因は多分携帯で書き込みすぎ」
「携帯メールとマウス使いすぎで親指付け根が痛くなり…」
といったカキコミも多く存在する。携帯やゲームが原因、というケースは多いと思われる。
昔は1秒間に何連打、というゲームもあった
複数の専門家によると、楽器を演奏する人やスポーツマンなどにも多く見られ、
「具体的な調査はないが、携帯やパソコンなどの影響も大きくなっていると言われています。親指を動かすことが多いですから」
と指摘する。
何か対策は取られているのだろうか。NTTドコモの場合、携帯電話について直接的な対策は特にしていない。ただ、同社広報はJ-CASTニュースに対し、
「各メーカーは使いやすさや押しやすさを追求している。『タッチパネル式』の携帯電話など、結果的に負担が軽減されているということはあるだろう」
と話す。
また任天堂の広報によると、ゲームは「生活必需品」ではないため、ユーザーの厳しい目が向けられている、と捉え、
「快適に使っていただけるように、あらゆる角度からハード面での工夫と、ソフト面での注意喚起を行っています」
「携帯電話やパソコンも同じように、究極的には『使いすぎ』は良くないということです」
と話している。ゲームの内容についても、
「昔は1秒間に何連打、というようなゲームもありましたが、今では『書く』、『声を出す』、『振る』など、ゲーム自体が変わってきていますからね」
といい、結果として手指の負担軽減につながっている、という見方だ。