中川前財務相のワイン昼食会に「読売美人記者」が同席したと、スポーツ紙などで話題になっている。取材先に食い込んでいるとも言えるものの、ネット上では、癒着だなどと批判の声が多い。プロフィールまで晒され、読売側が削除する騒ぎになっている。
2ちゃんねるなどで、女性記者の写真晒される
「美人記者」を報じたスポーツ紙や夕刊紙
「中川前財務相 美人記者と酒」
こんな1面ぶち抜き見出しで報じたのが、日刊スポーツ。2009年2月20日付の記事では、中川昭一前財務相がG7記者会見直前にワインを飲んだ昼食会で、読売新聞の記者を招いた様子を再現した。ワイングラスを前に、「お気に入り30代記者」と並んで座るイラストまで掲載されている。
昼食会の様子は、財務省の玉木林太郎国際局長が19日の衆院予算委員会で明らかにした。それによると、読売記者には、「取材で近寄ってきて、時間がないので入ってもらった」という。ワインは、中川前財務相自らが注文し、レストラン側から「このボトルでいいですか」と聞かれ、「それでいい」と言った。
ネット上では、民放キー局、外資系通信社の女性記者も同席したとの情報が流れていた。が、国際局長は、読売以外の記者がいたとはしていない。
読売記者は、昼食会前日夜の飲み会でも、参加した記者4人の中に含まれている。それだけ肉迫していたわけだ。昼食会では、中川前財務相は、「口を付けた程度」といい、読売新聞の20日付記事によると、記者はグラスに口をつけていないとしている。
読売新聞は、紙面上などでこの記者の素性を明らかにしていない。しかし、他の新聞各紙では、「女性記者」「美人記者」などと特定して報じている。毎日新聞は、中川前財務相が女性記者ばかりと飲食していると報じていただけに、ネット上は、その話題でお祭り騒ぎに。
読売記者の同席が明るみに出た18日は、2ちゃんねるなどで、同席したとみられる女性記者の顔写真が晒されてしまった。顔写真は、読売新聞ホームページにある採用情報の「第一線で活躍する先輩記者」で、プロフィールに載せられていたものなどだった。
「取材の内容や過程については、従来よりお答えしていません」
ところが、読売新聞のホームページからは、女性記者のプロフィールが、ネット上に晒された2009年2月18日中に削除されてしまった。なぜ削除したかについては、この日のJ-CASTニュースの取材に対し、読売新聞東京本社広報部では、同席したのが女性記者なのかどうかも含めて、「取材の内容や過程については、従来よりお答えしていません」とだけコメントした。
ネット上では、「読売の記者はたんに、熱心に取材してただけじゃねえか。どこの会社も営業だったら得意先とのコンタクトは大切だ」(2ちゃんねる)と、食い込んだ取材ぶりを評価する声もある。しかし、女性記者のプロフィール削除などがかえって疑念を持たれる結果となり、政治家との癒着から謀略説まで、根拠がない憶測が飛び交うようになっている。
昼食会同席については、J-CASTニュースにも読者から様々なコメントが寄せられている。18日の記事「『中川大臣酩酊してませんか』 会見出席記者なぜ質問しない」のコメント欄では、
「まず政治家、マスコミ両方の緊張感のなさ、政治家と記者との飲食、飲酒することを業界的に許してるのが問題」(「解体せよ」さん) と、厳しい声が上がった。また、次のように、政治家の言いなりになる危険性を指摘する書き込みもあった。
「そもそも、女性記者のみをワイン会に参加させることをマスコミが認めていた時点で問題なんだよな」(「にゃん」さん)
マスコミ不信が強まる中で、今後、報道各社は、政治家ら取材相手との飲食をどこまで許すべきか、その距離をどう保つかについて、再考を迫られそうだ。