入国審査などをすり抜ける「偽指紋」が韓国で広く出回っていたらしい。しかも、簡単に製造できるという。銀行のATMから現金を引き出す際の本人確認にも「指認証」が使われているが、日本のセキュリティは大丈夫なのだろうか。
「偽指紋」で入国管理のバイオ審査をすり抜ける
日本から強制退去させられた韓国人の女性が、指紋の照合で身元をチェックするバイオ審査をすり抜けて再び不法入国していた事件。この女性に指には、シリコーン樹脂でできた特殊なテープの「偽指紋」が付いていた。
2009年2月19日付の読売新聞によると、韓国警察はこのテープが韓国の闇社会に広く出回っているとみているという。「偽指紋」テープは、厚さ1ミリで製造も簡単。1枚つくるのに、たったの68円(1000ウォン)程度というから、広く流通してもおかしくない。
一方、03年ごろから、カードの盗難や偽造、4ケタの暗証番号の解読によって本人に成りすまし、ATMから預金を引き出す事件が相次いだ。その対策として銀行は、「指」や「手のひら」を使った生体認証システムをATMに搭載することでセキュリティのレベルを上げてきた。
メガバンクなどでは、指認証ICカードの利用者に対して引き出せる現金の上限金額を高めに設定するなど、磁気カードとの差別化を図りながらカードの切り替えを進めてきた。順次導入してきた新しいATMの設置作業もようやく終わろうかというところだ。
そこに飛び込んできた「偽指紋」問題。成りすまし対応は万全なのだろうか。
「指紋というより、指静脈なので問題ありません」
みずほ銀行は、「当行のATMは指静脈なので問題ありません」と話す。暗証番号との併用という2重チェックもかかっている。
「指認証」ATMを製造する日立製作所も、「なんの心配もありません」と、一蹴する。「現金を引き出す際、ATMに指をかざしますが、それは指紋というよりも指の静脈をみているのです」と、セキュリティの高さを強調する。
指紋だけで本人確認するとなると、今回の事件が起こると安全性が問われるが、日立の場合はたとえ、指を切り落としてかざしたとしても、血が通っていないからATMは使えないというわけだ。
「指認証」を使ったセキュリティは、マンションや会社、病院などの防犯対策や入退出管理、「セキュリティ・パソコン」などにも広がってきており、「多くの引き合いがあります」(日立)という。同社によると、ATMもパソコンも同じ認証システムを使っているのでセキュリティは万全とのことだ。