「セクハラ疑惑」まで飛び出す 三洋電機「身売り」ドロドロ暗闘

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   パナソニックによる買収が決まった三洋電機をめぐって、その「暗闘」をめぐる週刊誌報道が波紋を呼んでいる。記事によると、三洋電機の元首脳が「金融機関が仕組んだ罠にハマった」と振り返っているほか、会長兼CEOだった野中ともよ氏に対して、金融機関幹部からセクハラまがいの言動があったことなどが指摘されている。金融機関側は「事実無根」と反論しているが、三洋電機の「主導権争い」をめぐる攻防の激しさが垣間見えた形だ。

新聞社などにノキアとの交渉について情報をリーク?

   経営再建の努力を続けてきた三洋電機だが、2008年12月には、パナソニックによる買収が発表された。再建努力は「身売り」という結末を迎えた形だ。

   同社の経営再建策として最も世間の注目を集めたのは、ジャーナリストの野中ともよ氏の起用だ。野中氏は02年、創業家の井植敏会長(当時)に請われて社外取締役に就任。05年には会長兼CEO(最高経営責任者)に就任した。当時は「『創業家色』を薄める狙いがあるのでは」との声が広まると同時に、企業経営の経験がない野中氏の起用に批判的な声も相次いだ。

   やはり業績は改善せず、06年3月には、三井住友銀行・米証券大手のゴールドマン・サックス(GS)、大和証券SMBCグループの3社を引受先に総額3000億円の第三者割当増資を実施した。この時点で、この3社の議決権は実質60%を超えた。

   以降、創業家が進めようとしていた経営再建策の頓挫が目立つようになる。有名なのが、フィンランドの携帯電話メーカーのノキアや、台湾の液晶メーカーの広達電脳との合弁計画の「破談」。いずれも、金融3社が「収益力向上が見込めない」などと難色を示したことが背景にあるとされる。結局、野中氏は、業績不振の責任を取る形で、07年3月に退任している。

   このような背景について、金融3社に対して矛先を向けたのが、今週発売の週刊朝日(09年2月27日号)の記事だ。同誌の記事によると、金融3社出身の副社長が、進行中の合弁案件に

「キャッシュフローはどちらが出すんだ」
「本社の場所はどこだ」

   などと難癖を付けるなどしたという。さらに、記事では、3社の関係者が新聞社などにノキアとの交渉について情報をリークしたことを示唆している(3社は、同誌に対して情報リークや業務妨害の事実を否定)。

「野中氏に対する言動に関しましては事実無根」

   特に目を引くのが、GS社長の持田昌典氏と、野中氏、井植敏雅社長(当時)などが会食した時の描写だ。会食が行われたのは、第三者割当増資が行われる直前の「06年初め」だといい、三洋の元幹部が、こう振り返っている。

「アルコールが入っていたとはいえ、持田さんは、とても女性には言えない下品な表現で野中さんをからかい続けたのです。出資してもらうという立場上、敏雅氏は何も言い返すことが出来ず、テーブルの下で拳を握りしめていたそうです」

   さらに、別の三洋幹部による

「持田社長はミーティングの場でも平気で野中さんに『女はいいよなぁ』などと暴言を吐き続けた」

との声も紹介されている。

   GS側は同誌に対して

「三洋電機に対する経営妨害や情報漏えい、野中氏に対する言動に関しましては事実無根であります」

と、事実関係を否定。さらにGS広報部がJ-CASTニュースに明らかにしたところによると、記事中には事実関係に誤りがあり、誤りについては、同誌に対して指摘をしたという。

   上記の持田氏の行動が仮に事実であるとすれば、パワハラ・セクハラの両面から非難されるべき行動だと言えそうだが、GS側が主張するように「事実無根」の場合、名誉棄損の可能性も出てくる。

   GS広報部では、誤りを指摘したことは明らかにしつつも、この「指摘」の内容が、単なる「指摘」にとどまるものなのか、それとも「抗議」「法的措置を検討」といった強い調子のものなのかについては明らかにしなかった。

   いずれにせよ、このようなエピソードが取りざたされること自体、三洋電機をめぐる創業家と金融3社の駆け引きの激しさを物語っているとも言えそうだ。

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