肥料会社片倉チッカリンの「伸び」は目を見張る
ふだん、あまり聞いたことのない、「隠れた」優良企業は少なくない。肥料会社の片倉チッカリンの「伸び」は目を見張る。09年3月期は過去最高益を見込んでいて、前期比の経常利益増益率で222.6%にもなる。08年は「食の安全」が大きく問われたが、それが国内の農業生産の見直しにつながり、肥料が売れたこともある。
昭和産業というとピンとこないが、「SHOWA」ブランドの小麦粉や食用油といえば聞き覚えがあるだろう。同社も前期比95.4%増と好調。しかし、「前年(07年)に原料価格の高騰があってかなり落ち込んでいたため、数字上では(08年度が)ものすごく伸びたように映っているだけ」と説明する。
小麦粉の原料の小麦は大半を輸入に頼っていて、政府が価格を決めている。原材料費の上昇前に、早めに手配し、製造コストを抑えた。一方で商品の販売価格を引き上げたため、そのタイムラグもあって儲かった。
ただ、足元の収益状況は厳しくなっている。この不景気で、今度は原料価格の下落で販売価格を下げざるをえなくなっている。「タイムラグのあいだに、どこまで儲けを維持できるかですね」と、今後の見通しを語る。