一眼レフカメラで写真撮影を楽しむ女性が増え、女性向けの写真教室もにぎわっている。カメラの性能がよくなったこと、軽くなったことで持ち運びがしやすくなり、女性の興味が「撮られる」から「撮る」へと変わってきているようだ。
女性向けカメラ教室が増加
ニコンイメージングジャパンが運営する写真教室「ニコン塾」。2000年の開講時には、受講生のほとんどは男性だった。女性向けの講座もあったが半年に1回程度、細々と行われていた。それがいまや、写真教室に通う全体の3割が女性だ。また、3か月に1回募集する女性向けの講座には、参加者がすぐに集まり満員。キャンセル待ちが起きるという。
担当者の米岡一憲さんによると、女性の参加者が増えはじめたのは06年頃。デジタル一眼レフカメラの価格が10万円をきり値頃感が出てきたこと、オートフォーカスの機能が充実して、扱いが簡単になったことが挙げられる。そして、インターネットの影響もある。先の女性向け講座を開始した2000年当時、女性参加者は「何を撮ったらいいのかわからないが、やってみたい」と話していた。しかし、いまはブログに写真を載せることが楽しみという人が多い。
「講座前の自己紹介やアンケートを見ていると、自分のブログにペットを載せたい、今度海外旅行に行くので写真の撮り方を学びたいなど、明確な目的を持っている人が多い。また、授業後にはメールアドレスを交換して、連絡をとりあう『写真仲間』となっていくみたいです」
カメラメーカー各社はカメラ教室を開催しているが、いずれも、女性の参加者は増えているようだ。富士フイルムイメージテックでは06年に女性向け講座を開講。こちらは、フィルム一眼レフカメラを扱う、より専門性の高い講座だが、一つの講座に20人前後の女性が集まる。「旅行で写真を撮ったことがきっかけで、カメラを習ってみたいという人が多いようです」と担当者は話している。
「自分で撮って、ブログに載せたい」
一眼レフカメラの人気にともなって、女性を対象にしたカメラ雑誌も売り出されている。そのうちのひとつ、宝島社では、カメラ雑誌「LOVEカメラ」を05年8月の創刊以来、年2~3回のペースで刊行している。
同誌編集者の西山千香子さんによると、「おしゃれな写真を自分でも撮って、ブログに載せたい」という女性読者が多いそうで、同誌は写真撮影の「お手本」としても使われるという。
「読者の皆さんは、被写体の選び方や撮影時間、光の使い方、構図のとり方などを真似するところから入り、だんだん自分らしいポイントを見つけていくようです」
ところで、なぜ女性がこれほど一眼レフカメラにはまっているのか。西山さんによると、以前から写真に興味のある女性は多かった、とした上で次のように話す。
「昔から写真展などに足を運ぶ女性は結構いました。ただ、以前は『撮られる』とか『見る』ことが主でした。しかし、デジタルカメラやブログにより、『見る』ことから『撮る』ことに興味が変わってきたのではと思います。これにより、女性の写真に対する関わり方を変えたのではないでしょうか」
多くの場合、コンパクトタイプのデジタルカメラからデビューし、その後、一眼レフカメラへと進んでいく。のめり込むに従って、「作品と呼べる1枚を撮りたい!」と意気込む人も多いとか。いずれにしろ、デジタル一眼レフの軽量化や購入しやすい価格となったことから、さらにブームが加速するのでは、と西山さんは見ている。