ダルビッシュもマー君もキレる 大混乱「15秒ルール」収めどころ

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   プロ野球の投手に対する新ルール「15秒ルール」が大混乱を招いている。現在行われているキャンプの紅白戦では、ダルビッシュ有投手(日本ハム)が「リズムが狂う」とキレ、楽天のマー君こと田中将大投手は不慣れな審判側の不手際で「被害」に遭った。もっとも、ペナントレースではジャッジが「緩く」なると見る専門家もいる。新ルールはいったいどうなるのか。

サインに2度首を振ったら15秒が経過

   プロ野球試合の時間短縮のため、2009年1月19日に約8項目の新ルールが日本野球機構(NPB) の実行委員会で承認された。その一つが「15秒ルール」。これまでは、ピッチャーがキャッチャーからボールを受けた後、バッターを向いてから12秒以内で投げる決まりだったが、新ルールは捕手からボールを受けたピッチャーが、走者がいない場合、受けた時点から15秒以内に投球動作をしなければボールを宣告される、というものだ。

   09年春キャンプから各チームはこのルールを導入。しかし09年2月8日、ダルビッシュ投手が捕手のサインに2度首を振った時点で15秒が経過してしまった。ボールを宣告されたダルビッシュ投手はその後リズムを崩し、「野球にならない!」とキレた。サイン交換だけでなく、ロージンバッグを触ったり、周りを見たりしないといけないため、「15秒では短すぎる」という理由からだ。

   横浜の桑原謙太郎投手は投げる直前にボールが宣告された。大矢明彦監督は「故障につながる」と心配。楽天のマー君に至っては09年2月12日の紅白戦で「被害」に遭遇。ボールを受けた後、球審がホームベース上の土を払ったため投球せずにいたところ、15秒が経過。ボールを宣告されたのだ。ただし、審判側が、「タイムを取らずに土を払った」ため、後に不手際を認めている。

   こうした一連の「騒動」が「15秒ルールはおかしい」と野球ファンの反感を買い、NPBには抗議のメールが多数送られた。ネットでもこのルールに対する批判のカキコミが掲示板に多数投稿されている。

「試合が成り立たないだろこれ」
「こんなルール作ったら 見るほうがさらにイライラするのは間違いない」
「投げるまでのバッターとの心理戦が楽しめなくなる」

ペナントレースではジャッジが「緩く」なる?

   こうした混乱ぶりに、ペナントレースは大丈夫なのか、と心配になるが、NPBはJ-CASTニュースの取材に対し「苦情のメールは多く寄せられている」、としながらも、

「選手も、審判も初めはルール変更に伴う多少の戸惑いがあるかもしれませんが、じきに慣れてくれるでしょう」

と話し、今のところ元に戻すことは考えていない様子だ。

   パリーグの審判員を長年勤めた小林晋さんはJ-CASTニュースに対し、こんな裏話を語った。

「ルールが変更になった初年のキャンプでは、審判はあえて厳しいジャッジをします。だから、紅白戦ではルールを巡って必ず大きな批判が出る。厳しくする理由は、シーズンに入ってから試合をスムーズに進めるための布石なんです」

   小林さんは「15秒ルール」が試合を活性化させる可能性が高いとみる。野球には長くダラダラと試合を進める「戦略」もあるが、テンポ良くピッチャーが投球する試合は引き締まり、面白くなる場合が多いからだそうだ。また、ペナントレースに入れば、新ルールに選手は慣れてくるばかりでなく、審判も試合を壊さないように「緩いジャッジ」に変化していく。

「ファンの方々が騒いでいるのは知っていますが、心配することはないですよ、と言いたいですね」
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