グーグルが宣伝方法を謝罪 「口コミマーケ」効果あるのか

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   グーグルの日本法人が、突然公式ブログに「お詫び」を掲載し、話題を呼んでいる。同社が代理店を通じてブロガーに報酬を支払い、「急上昇ワードランキング」の宣伝をさせていたことが、「公平でなく、ガイドラインに抵触している」と判断された模様だ。専門家からは、「グーグルの対応が泥縄なのはもちろん、『口コミマーケティング』も曲がり角に来ているのではないか」と、手法の有効性自体に疑問を投げかける声もあがっている。

グーグルのガイドラインに違反

   グーグルは2009年2月10日、公式ブログに「Googleのマーケティング活動について」と題した記事を掲載し、

「プロモーション活動の一部でブログを使用したことが、Googleのサーチに関するガイドラインに違反することが判明し、このプロモーションに関しては中止しました」

とした上で、

「ご迷惑をかけた関係者各位とユーザーの皆さまにお詫びするとともに、再発防止に向けて、透明性の高いコミュニケーションに努めてまいります」

と陳謝した。

   文面だけでは、何に対して陳謝しているのかが不明だが、どうやら、同社が行った「口コミマーケティング」の手法に問題があったようだ。

   同社は09年2月5日にウェブサイトのトップページをリニューアルし、グーグル内で検索回数が急上昇している単語の上位を並べる「急上昇ワード」の表示を始めた。

   これと時期を同じくして、同社は「サイバー・バズ」が運営する口コミマーケティングサービス「サイバー・バズ(CyberBuzz)」を利用し、同サービスの会員に「急上昇ワード」を宣伝する内容をブログに書くように依頼。具体的には、ブログに設置する「ブログパーツ」とよばれる部品を宣伝させていた。パーツ上には「急上昇ワード」上位10位が表示され、20分おきに更新される仕組みだ。

「CyberBuzzさんの案件に参加中」
「CyberBuzz様のキャンペーンへ参加中です!」

などと断った上で、「急上昇ワード」のブログパーツを宣伝するブログを多数確認することができる。

「どれくらい宣伝効果があるのかは、はなはだ疑問」

   グーグルが公表しているガイドラインでは、「ページの検索順位を操作することを意図したリンク」などを禁止している。今回のキャンペーンは、この部分に抵触、検索順位の操作に当たると判断されたものとみられる。

   数年前には、ブロガーが企業から報酬をもらって商品などを宣伝する「ヒモ付きブログ」の炎上が相次いだのは記憶に新しいところだが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、この手法自体の有効性に疑問を投げかけている。

「ブロガーにカネを払って宣伝する『ステルスマーケティング』という言葉が登場して、しばらく経ちましたが、ブログが『個人メディア』だとすれば、その方向もあり得なくはないと思います」

と、「口コミマーケティング」自体は悪いことではない、とする。

   ただ、

「どれくらい宣伝効果があるのかは、はなはだ疑問です。例えば雑誌記事でも、端っこに『PR』とかって書いてあると、どんなに記事の内容が良くても『どうせ広告なのか』と、一歩引いた目で見てしまうものです。これと全く同じことです。グーグルも、『もっと正面からやればいいのに』って思うんですけどね」
といい、「伝統的な広告手法の方が効果が上がるのでは」との見方だ。さらに、
「ここ数年、日本のブログ文化は進化した感じがしませんよね。結局人気があるのは、芸能人の動向ばかり。世界情勢について語ったブログで注目をされているものは、本当に数えるほどしかありません。このような下地を活用した『口コミマーケティング』というのは、早くも曲がり角に来ているのではないでしょうか」

と、媒体としての「ブログ社会」のあり方にも悲観的だ。

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