軽症患者の来院減らす取り組みを進める
鳥取県は救急医療にかかる患者のほとんどが軽症だという現状を重くみて、患者を減らす取り組みを進めている。夜間や休日の子どもの急病時に「#8000」(ダイヤル回線、IP電話の場合は03-5772-0576)にダイヤルすると、看護師や小児科医が対処法をアドバイスする電話サービス「とっとり子ども救急ダイヤル」を09年2月1日から始めた。県医療政策課担当者は、「県民のみなさんにも現状を理解していただきたい」と訴えている。
「地方の救急医療が破綻してきている」と指摘するのは、岡山県の救命センターで7年間働いた経験がある病院医師だ。現在は手術や入院の必要がある患者を受け入れる、2次救急医療に携わっている。
「ずいぶん前から救命医療の現場で人手不足が深刻になっており、がんばってやろうとするほど、『やり損』という感じです。たくさんの患者が運び込まれるので、他科の応援を得てなんとかやっています。しかし、他科の先生にとっては専門外の患者を診ることに(訴訟などの)リスクもあり、協力したくない、という本音もあるようです。他科の協力を得られず、専門医だけで回せなくなり救急科を撤退するという事態も起こっています」
厚生労働省は09年度予算案で、医療、介護の人材確保対策を主要項目に掲げている。医療分野では医師確保対策の推進に488億円(前年度377億円)を計上。救急医療の中でも特に過酷な夜間・休日の医療を担う勤務医の手当として、新たに20億円が盛り込まれた。地域医療の推進には504億円(前年度371億円)を計上。救急医療の充実に56億円をあて、小児初期救急センターの運営、第3次救急医療を担う救命救急センターの整備などに使われる。