不祥事発覚「漢検」の理事 元文化庁長官は何をしていたのか

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   財団法人「日本漢字能力検定協会」が多額の利益を出していた問題で、元文化庁長官が長年、協会理事をしていることが新たに分かった。元長官がいながら、漢検は、文科省から4度も指導を受けているのだ。どうしてそんなに手間取ったのか。

04年度から4度も指導を受ける

   日本漢字能力検定協会(本部・京都市)は、ここ5年間で約20億円もの利益を出していたと報じられ、所管の文部科学省が2009年2月9日、立ち入り検査に入る事態になった。財団法人のような公益法人は、税制上の優遇措置を受けており、1996年の閣議決定で、必要以上の利益を上げてはいけないとされている。それが守られず、「必要以上」の高額な検定料を取っていたわけだ。

   さらに、大久保昇理事長や長男の浩副理事長が経営する4社に業務委託し、ここ3年間で計約66億円もの支出と、漢検が不利益を被るような高額な契約で取引していた疑いもかけられている。民法にある利益相反という違反のことだ。そればかりではない。漢検は、2003年7月には、漢字資料館にするという名目で、京都市内の土地・邸宅を約6億7000万円で購入し、そのまま使用していなかった。同市内で、亡くなった幹部向けとして供養塔も購入しており、これらの点も文科省の調査が入った。

   多額の利益の点では、04年度から3度も指導を受けている。今回で、なんと4度目だ。各メディアでは、漢検の理事・評議員会が形骸化し、機能していなかったのではと推測している。

   ところが、J-CASTニュースが文科省生涯学習推進課に問い合わせたところ、仰天するような事実が判明した。元文化庁長官が現在も、漢検の理事になっているというのだ。無給の非常勤とはいうものの、少なくとも4度もの指導中には、元文化庁長官が在任していた。

ちゃんと理事会が機能していなかった

   元文化庁長官が在任しているのに、なぜ度重なる指導をしなければならなかったのか。

   これについて、文科省の生涯学習推進課では、「指導の後、検定協会は、検定料の値下げをしたり、新しい級を作ったりして、収支のバランスを取るように改善しています。しかし、それが不十分だったということです」と説明する。

   公益法人に詳しい江戸川大社会学部の惠小百合教授は、これに疑問を呈する。

「チェックをきちんとするのは、理事会メンバーの責任です。詳しくは聞いていないのでよく分かりませんが、ちゃんと理事会が機能していない可能性があります」

   つまり、元文化庁長官が理事としてどれだけ貢献していたのか疑問があるということだ。

   そして、理事会が機能し、公益事業らしく検定料を引き下げたり、収益を再投資したりするようになるには、情報公開の徹底が必要と説く。

「昨年12月からスタートした新公益法人制度では、情報公開が制度的に整備されました。それを利用して、社会全体が監視する状況を作るしかありません。今まで、なあなあでやってきたのが、いつでもホームページなどを通じた情報公開で不特定多数の目に留まるようになる状況ですね」
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