「私は郵政民営化を担当した大臣ですからね」
ところが、そのわずか5か月前には、全く逆のことを言っていたのだ。自民党総裁選期間中の08年9月12日、東京・内幸町の日本記者クラブで行われた討論会で、郵政民営化「推進論者」だった小池百合子元環境相から
「郵政民営化について、(麻生氏が)どこかの取材に答えられまして、元経営者としては、5年たったら『うまくいかなかった』と証明できるのではないか、というように、あまりうまくいかないというふうにおっしゃっている部分があります。つまり、郵政民営化は失敗だったと思っていらっしゃるんでしょうか」
と突っ込まれると、
「経営者として申しあげさせていただけば、まず間違えていただいては困るのは、私は郵政民営化を担当した大臣ですからね、忘れないでください。私が総務大臣として担当しておりました。私が担当としてやらせていただきましたので。郵政民営化を国営に戻すかのごとき話がばらまかれているのを知っていますけれども、私はその種の話をしたことは一回もないと存じます」
と、「私が担当」と断言。最近の答弁とは全く逆の発言をしていることが明らかになった形だ。
こんな状況に対して、河村官房長官は2月10日の記者会見で、
「これはどうなんでしょう?私、勘違いじゃないかと思いますね。担当大臣だと言い切っておられるとしたら、勘違いじゃないでしょうかね。担当大臣ではなかったですから」
「改革をやり遂げる責任は総務相(だった麻生氏)が持っていた。ただ、(改革を)直接進めたのは竹中さん」
と釈明する一方、浜田防衛相は、
「総理が口に出してしまったことは飲み込めませんので、これはしょうがないことなんですが、まぁ、そういうことがないように、他の部分で、その部分は支えられないかも知れませんが、自分の役割をしっかり果たしていくしかないのかな、という風に思っております」
と、半ば突き放したような格好だ。
「身内からの批判」と言えば、早川忠孝法務政務官=自民党、埼玉4区=が2月9日、ブログで関連予算成立後の政務官辞任を表明し、2月10日になって撤回する、という騒ぎがあったばかり。批判する側も「ぶれ」を露呈した形だが、麻生首相の一連の発言のぶれは、当分尾を引くことになりそうだ。