「とにかく公共事業を増やして」という声も
もちろん、「財政出動」肯定派もいる。「財政出動すべき」と言い切るのは、「恐慌前夜」(祥伝社刊)の著者で常葉学園大学の副島隆彦教授。「小泉路線の改革派との対立もあって、2兆円(定額給付金)を通すにも四苦八苦しているが、とにかく公共事業を増やして、若い人に職を与えていくことが必要だ」と説く。
しかし、問題はいまの経済情勢を政治家がきちんと見極めていないことにある。国際金融エコノミストの枝川二郎氏は、「定額給付金の問題にしても、給付金をどのように配るのか、国民全員にきちんと行き渡るのかといった、議論の本質ではないところで盛り上がっている。一方、米国ではオバマ大統領が打ち出した公共事業を積極化する、財政出動への賛否について論争が続いている。WSJのような否定的な意見にも耳を傾けようという姿勢が、日本の政治家にはみられない」と指摘する。