「資金繰りの不安もない」と断言
高金利をつけるのは、それだけ個人預金がほしいからだ。ある大手銀行の幹部は、「個人預金を集めるのは、法人預金がはがれていくからだ」と指摘する。業績悪化によって、資金繰りのために手元の預金を取り崩している企業は少なくない。そのため、新生銀行のように法人預金のウエートが高い銀行は手元流動性が厳しくなる。
また、新生銀行が債券による資金調達に力を入れてきたこともある。株価からもわかるように、同行はマーケットの評価が低い。現在、債券市場は急速にしぼんできており、債券での資金調達はほとんど無理な状況だ。とはいえ、発行済み債券の返済時期はやってくる。預金はいわば、その備えとして積んでおく必要があるわけだ。
新生銀行に「どうして年1%を超える金利が付けられるのか」聞いたところ、「お客様のニーズに最大限応えているからできること」(広報部)という返答だった。
07年12月末の預金全体の調達コストは0.83%、08年12月末が0.84%と、「前年とほとんど差がないし、手元流動性も1兆円ある」と説明。「資金繰りの不安もない」(広報部)と断言する。
しかし、日本格付研究所(JCR)が2月3日、新生銀行の格付けを「A」から「A-」に格下げするなど、周囲は厳しい目を向けている。