この不況のあおりを受けて、ランチはお弁当というサラリーマンが増えている。オフィスに弁当を持参する独身サラリーマンは「弁当男子」と呼ばれ、現在、増殖中だとか。料理を作ることが好きだという男性が増えたのも一因だ。弁当箱の売り上げも好調だそうだ。
「やり始めるまでは結構抵抗あったんだけど」
マーケティングリサーチ会社のインテージが2008年10月30日に発表した調査によれば、ビジネスパーソンの昼食として最近増えたものは、「家から持参の弁当」(36%)。持参しはじめたのはここ1年くらいで、切り詰めている費用は「昼食費」(43%)「夜の飲み会などの費用」(42%)が挙げられている。08年10月17日~21日、20~59歳の男女2400人を対象に、インターネット上で実施した。
この調査を裏付けるかのように、弁当を持参する独身サラリーマンのことは「弁当男子」と呼ばれ、現在、増殖中だ。弁当を話題にしたネット掲示板には、次のように書き込まれている。
「既婚男性の弁当持参3割の会社(一応大企業)にいるけど、確かに独身男性で弁当持参もちらほら見るようになった。20代が多い」
「今は不景気だから時間はいくらでもあるんよ。作るのは最初面倒臭かったけど、毎日20分ほど。バイトやってると思う事にしたら何ともなくなった。事実、それで1万数千円ほど毎月手元に残るし 」
「俺一人暮らしだけど完全自炊。毎日タッパ一杯におかずを作り、3日前、2日前、昨日、そして今日作ったおかず。これが弁当になる」
個人のブログでは、写真とともに紹介するケースもある。ある39歳男性はこの1月、東急ハンズで恥ずかしながら弁当箱を購入し、弁当生活が始まったと書いた。「やり始めるまでは結構抵抗あったんだけど、やってみたら健康的だし経済的だし良いことだらけだね」と、感想をつづっている。
保温弁当箱は前年比2倍の売り上げ
弁当持参者の増加を反映して、弁当箱の売り上げも大きく伸びている。ロフトによれば、保温弁当箱(ランチジャー)は前年比2倍、保温水筒も前年比1.6倍の売り上げだ。弁当箱の購入者は女性が多いが、1番売れているものは男性向け商品の「象印保温弁当(SZ-EC04XA)」。「お弁当をつくる奥様がご主人へ寒い冬は『せめてお昼は、あったかいお弁当を』と考えているのでは」とロフトの広報担当者はいうが、男性自らが買いに来るケースもあるようだ。
実際、男性が料理をすることは多くなった。男性向けの料理教室も開催され、07年ごろから話題だ。全国で料理教室を運営するABCクッキングスタジオでは07年2月から、男性を対象にしたコースを都内の2教室ではじめた。現在ではおよそ300人の生徒が在籍し、世代を問わずにぎわう。1日だけ参加できる「1dayレッスン」にも、男性が目に付くようになったそうだ。
広報の西沢貞子さんは、共働きや節約志向がきっかけで、男性も「食」への興味が増しているのでは、と指摘する。「弁当男子」が増えていることについては、次のように話す。
「一人暮らしや共働きで自炊している男性は多かったが、堅実派が増えて、弁当持参になったのかもしれませんね。いずれにしろ、料理好きな男性は増えていると思います。凝り性な方が多く、一度やると、はまるみたいです」