「医療関係の財源からも補助金をいただきたい」
ただ、この「高岡署1号」は、特に「新開発」された品種だという訳ではない。スギの木は、植えてから切り倒せる程度に成長するには、少なくとも40年はかかるが、森林組合の長友組合長によると、「高岡署1号」が注目されるようになったのは、ここ数年のことだという。長友組合長も、
「『高岡署1号』を切り倒してみたところ、『ほとんど花が付いていない』というので、注目されたんです。花粉症の問題がクローズアップされていることもあって、『もっと活用していこう』ということになりました」
と振り返る。
08年のシーズンに植林できたのは3000本にとどまっていたが、09年には苗木の生産体制も整った。もっとも、宮崎市内のスギ林の面積は、国有林と民有林を合わせると3万3000ヘクタール以上。すべてのスギ林が「少花粉スギ」に入れ替わるには長い時間がかかりそうだが、長友組合長は
「少しずつ、できることから進めていきたい」
と意義込んでいる。
なお、宮崎県では06年4月、県民税に上乗せする形で「森林環境税」を導入。今回のプロジェクトも、同税を活用した「花粉の少ない苗木生産等促進事業」の一環として行われているが、長友組合長は
「医療費削減にも役立つはずなので、医療関係の財源からも補助金をいただきたいぐらいです(笑)」
とも話していた。