「薬を必要としているお客さんに届けられなくなる」
これまで横のつながりがなかった業界だが、通信販売を主とする伝承薬業者35社による「全国伝統薬連絡協議会」が08年10月に立ち上がった。2週間に1度、厚生労働省に出向き、これまで5、6回の協議を重ねている。事務局の広報担当者は、
「私たちは自分たちの手で責任感を持って製造し、誰よりも薬を理解して販売しています。一方、省令案では『対面』か、そうでないかが焦点となっており、何が本当に大事なのかという点が見えていません。このままでは薬を必要としているお客さんに届けられなくなります。それだけは避けなければなりません」
と訴える。
06年に埼玉県の少年が北九州市の薬局からインターネットで鎮静剤を大量に購入して自殺を図るなどのトラブルがあり、ネットでの販売規制支持が高まった。また、薬害被害者も規制に賛成している。全国薬害被害者団体連絡協議会は一般用医薬品のインターネット販売の禁止を求める要望書を、08年11月17日、内閣府に提出した。全国伝統薬連絡協議会は薬害被害者も含め、関連団体との協議の場を求めていきたいとしている。
舛添要一厚労相は09年2月6日の記者会見で、同相直属の専門家検討会設置を正式表明した。検討会の初会合は2月中旬から下旬にかけて開催。ネットを通じた医薬品販売の在り方や、薬局や店舗で医薬品購入が困難な人への対応策を話し合う。メンバーは、規制賛成派、反対派を交えた19人。全国伝統薬連絡協議会からも1人が参加する。