首相に歯向かう人事院総裁 どうしてそんなに「偉い」のか

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   公務員制度改革を巡り、人事院総裁が麻生首相にさえ歯向かう前代未聞の事態になっている。第三者機関のトップとして、政府から罷免されない特権を利用したとみられている。人事院総裁とは、そんなに偉いものなのか。

辞任を求められても総裁は否定

「信じられない。総理が主宰する会にですね、役人が出てこないなんてことあるんですかね」

   甘利明行革担当相は、2009年1月30日の記者会見で、苦虫を噛み潰したような表情でこう憤りをぶつけた。

   出席しなかったのは、人事院の谷公士総裁。この日は、麻生太郎首相を本部長とする国会公務員制度改革推進本部の会合が予定されていた。内閣官房に新設する「内閣人事・行政管理局」に人事院が持つ公務員人事の企画立案機能を移すことが盛り込まれた工程表を最終決定するためだ。

   なぜ出席しなかったかについて、谷総裁は、正式メンバーでなく出席要請もなかったので、代わりに文書を出すつもりだったと釈明した。ところが、甘利行革担当相は、こう反発したのだ。

「出席要請もしないで、なんで前回も来たんですか。通りがかったら、会合やってるみたいだから入ってきたんですか。あり得ないことですよ」

   これが出席拒否かどうかは別にして、人事院が麻生首相と対立してまで機能移管に反対なのは確かだ。その理由について、人事院の企画法制課では、政府が公務員の給与を決めるというのなら、スト権などの労働基本権制約を見直さないとおかしいと説明する。また、政府が公務員の採用試験を行う場合は、政治家の口利きによる縁故採用の防止を考えなければならないとしている。

   首相とも対立する谷総裁に対しては、自民党の菅義偉選対副委員長が1月31日、辞任を求めた。だが、谷総裁は2月2日、辞任を否定し、機能移管への工程表が最終決定された3日も、「意見表明を続けたい」と反対する姿勢を示した。内閣がいったん任命すると罷免できない独立機関の立場を利用した面はあるが、人事院総裁とは、そんなに権力があるのだろうか。

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