大ブーム終わった「ケータイ小説」 ベストセラーランク登場せず

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インディーズのおもしろみがなくなった?

   魔法のiらんど(東京都千代田区)は、運営するケータイ小説サイトに投稿された作品70タイトル以上を書籍化している。サイト全体での利用者は600万人、月間ページビューは35億。月に数冊のペースでスターツ出版、ぶんか社、双葉社などから出しており、累計売り上げは1700万部(1月末現在)。

   広報担当者は、

「『恋空』が07年に群を抜いて売れましたが、このところ大ヒットがありません。ただし、ケータイ小説の人気に陰りが出てきたというより、安定してきた、とみています」

と強調する。

   恋愛もの主流から、SFやホラーへとジャンルが拡大し、投稿者も女子中高生から主婦やOLへと広がっている。

   一方、ケータイ小説に詳しい出版関係者は最近の動向について、こう話している。

「それはもう、散々たるものですよ。(ケータイ小説が)儲かるとわかり大手出版社が参入したあたりから、ぐちゃぐちゃになった」

   1か月に1~2作品程度だったのが、大手が参入してから10冊以上出るようになった。この結果、読者が分散して1冊あたりの売上げは落ちた。ベストセラーは生まれにくくなり、ケータイ小説は「おわった感が漂っているように見える」。もっとも売上げ全体でみると、「そこまで減っていない」。初版2~3万部程度なら時間をかければ売れるので、他ジャンルの書籍に比べて返品も少ないのだとか。

   そうは言っても、以前のように毎月新刊を出すのは厳しい。

「作家の人気が安定してプロっぽくなり、新人も出にくくなっています。素人が作るというインディーズらしさがうけていましたが、おもしろみがなくなってしまいました」
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