創業家出身者なら大規模リストラもスムーズに進められる
しかし、トヨタは厳しい経営環境に直面する中で、あえて「トヨタグループの旗」を掲げる道を選んだ。創業家出身者を頂点にすえることで、求心力や安心感の高まりに期待しようとの狙いとされる。創業家出身者なら、これまでの拡大路線を大胆に転換し、大規模なリストラも比較的スムーズに進めることができる、との読みもあるとみられる。
ただ、世界的な自動車市場はかつてないほど悪化している。08年12月の米国の新車販売台数は前年同月比35.5%減の89万6124台と4カ月連続で100万台を割り込んでいる。市場回復の見通しはまったくたっていないのが現状で、「長ければ5年ぐらいは厳しい環境が続く」(業界関係者)との見方さえ少なくない。
こうした中で就任する創業家出身の章男氏には、早急にトヨタの業績回復の道筋をつけ、着実に実績を積み上げていくことが求められる。それができなければ、世襲批判は高まり、トヨタに逆風が吹くきっかけにもなりかねない。