冷凍・解凍技術進歩がおいしさに一役
スピード解凍された牛肉の解凍温度をチェック(スターゼン株式会社 マクドナルド事業部 千葉工場)
オージー・ビーフと言えば、かつて草っぽい臭みがあると言われた。しかし飼育・加工・輸送技術の向上、そして穀物肥育牛の増加などから、消費者のあいだでのイメージもかなり変化してきた。
牛肉製造、食品加工の技術向上も、オージー・ビーフのおいしさに一役買っている。
前出のスウィフト・オーストラリア社では、冷蔵庫の近代化で、牛肉の鮮度を落とさない冷凍技術を編み出した。かつては天井の装置から冷たい風を吹き付けたため、天井から水滴が牛肉に垂れてその品質に影響した。しかし、現在は、庫内にある壁の後ろから冷たい風を回し込む構造のため、水滴が着かずに生の肉のおいしさをキープしている。
また、日本に輸入後も、鮮度を保つ努力がなされている。スターゼン株式会社 マクドナルド事業部 千葉工場では、解凍技術の改良を続けており、2008年3月には、性能のよい高周波解凍機を導入した。30キロ近くある凍った牛肉ブロックが、わずか1時間ほどでコンベアに載せながら解凍できるようになった。従来の高湿度解凍機では、16時間もかかるために旨み成分の肉汁がしみ出しがちだったが、これで生の肉に近いレベルを実現している。
今後は、豪ドル安で輸入も進み、おいしいオージー・ビーフが手軽に味わえるようになりそうだ。オージー・ビーフは、穀物価格上昇と中国などでの需要増から一時値が上がったが、イオンなどのスーパーが豪ドル安で円高差益還元セールをしている。
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)のサマンサ・ジャミソン駐日代表は、「食品全体への懸念が増えている今の状況下でも、日本の皆さまがオージー・ビーフを信頼して下さっており、私どもも自信を深めています。円高に伴って輸入が増える見通しもあり、さらに日本での消費が拡大するように努力していきたい」と話している。